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June 25, 2004

静かに密やかに

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静かに密やかに
君のいなくなった世界を思い描く。
君が遠くへ去った後の世界を思い描く。

その朝もいつものように、目覚まし時計が鳴り響き、

夏だとすれば、
暑く苦しい、変わり映えのしない1日が始まるのだろう。

冬だとすれば、
寒く息も凍る、とるに足らない1日が始まるのだろう。


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その時も、その時も
君はどこかで生きていて、どこかで暮らしを営んでいて、
誰かに新しい愛情の言葉をささやいているのだろうか。

あの日何度も僕にしたように。

静かに密やかに
君のいなくなった世界を思い描く。
君が遠くへ去った後の世界を思い描く。

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June 21, 2004

アフガン人の十歳の少年が書いた文章

僕は、戦車、カラシニコフ、地雷を知っています。
でも、「平和」というのがどんなものか知りません。
見たことがないからです。
でも、他の人から聞いたことがあります。
僕はたくさんの武器を知っています。
ほとんどの武器は、バザールや、街や、
学校の壁や、家の前や、バスの中や、
その他 どこでも見られるからです。
「平和」というのは鳥のようなものだと教えてくれた人がいます。
また、「平和」というのは運だと教えてくれた人もいました。
でも、それがどうやってやってくるのかは知りません。
でも、「平和」が来ると、地雷の代わりに花が植えられると思います。
学校も休みにならず、家も潰されなく、
僕も死んだ人のことを泣くことがなくなると思います。
「平和」が来たら、家に帰るのも自分の家に住むのも簡単になると思います。
銃を持った人が「ここで何をしている?」とか訊かなくなると思います。
「平和」が来たら、それがどんなものが見ることができると思います。
「平和」が来たら、きっと僕が今知ってる武器の名前を
全部忘れてしまうと思います。

【山本芳幸著『カブール・ノート 戦争しか知らない子どもたち』(幻冬舎)
「アフガン人の十歳の少年が書いた文章」より】

June 17, 2004

チグリスとユーフラテス

ずいぶん昔(4年くらい前)にネットに書いた古い文章ですけれど
「チグリスとユーフラテス」のことを僕が書いているものなので
ちょっと暇があったら読んでください。

そのころの雰囲気もわかるかも。

#漂というのが僕です。

< チグリスとユーフラテスから/ぐるぐる-狂気と滅びと再生と1>

いろいろなところで書評にとりあげられ、ずいぶんと評判もいいらしい、B・シュリン
クという人の書いた「朗読者」という本を図書館で予約して、2週間ほど待って入手し
た。

読み始めたのだけれど、どうもわからない。

ナチスに対するドイツ人の鬱屈した思いが込められているということは、わかるのだけ
れど、どうにも日本人にはこの世界は立ち入ることのできない「深い森」であるように
思われた。
メディアで激賛されていた。元女看守と主人公との関わりも、なんだか僕には「一杯の
かけそば」のように感じられて切実な感動がなかった。

こうも「朗読者」に浸れなかったのも、その直前に読んだ新井素子のちょっと前になる
SF長編「チグリスとユーフラテス」が余りにもインパクトがあったせいかもしれない。
新井素子という、おそらく男性はあまりお読みにならないであろう(というか、大多数
の男性はこいつのことが嫌いだろうな)作家の「独特の」饒舌で多弁な語り口は、確か
に鼻につくのだけれど、人間の「狂い」がすさまじい勢いでエスカレートしていく後半
のスピード感が、ぼくは好きなのだ。

「グリーンレクイエム」や「ひとめあなたに」といった、初期の作品が好きで、一時ず
いぶんはまったのだけれど、いつか読もうと思っていて久しぶりに手を伸ばした「チグ
リスとユーフラテス」は、僕にとってはがつんだった。

ぐるぐる。

万一とち狂って(失礼)これから読もうという奇特な人もいるかもしれないから、スト
ーリーは書かないが、

「チグリスとユーフラテス」はとんでもないスケールの時間の重奏構造を持った、ひね
りにひねった、そう僕のようなへそまがりな人間のある種の欲望を、すっぽりと満たし
てくれる小説だったのだ。

そして、お気に入りの、後半にかけての「狂気」の描写は今回もいや今回こそは一段と
筆がさえていて、さまざまな現実のわずらわしさの粘着質的なパワーを、うち砕き、別
の世界に連れて行ってくれた。

こんなにもすさまじい時間軸の破壊を行って「狂気」を描いた小説というのは、(僕は
そう豊かな読書歴を持っていないけれど)遭遇したことがなかった。

「狂気」と「滅び」と「再生」と。

ストーリーを書けないから、はがゆいけれど、これは要はある惑星の文化の誕生と、発
展と、滅亡、そして再生(か?)につなげて終わる物語なのです。
それはもちろん、前にもかいたように途方もなく現実からかけ離れているのだけれど、
それでいて不思議と現実=今の僕らの生活というか生のようなものにイメージを重ねて
くるところがあった。

つまるところ、私たちは先のことなど何一つわかってはおらず、ぐるぐると繰り返して
いるのだ。

「狂気」と「滅び」と「再生」を。

そんな言葉を、抱かされて、ぽんと日常に放り返されてくると何の脈略もなく四谷の駅
近くにある古めかしいビルの屋上にある、いやあったはずのある「物」のことが思い出
された。

ぐるぐる。

< チグリスとユーフラテスから/ぐるぐる-狂気と滅びと再生と2 >

僕が広げた企画書とその説明をしばらく聞いていた、広報課長は顔を上げて

「漂さん。これはダメ。ダメなんですよ。うちでは」

と言った。
ぼくが憮然としてその理由を尋ねると、彼は、しばらくいい澱んだかに見えたが、とん
でもない話をしてくれた。

僕が苦戦していたのは、この会社が九州のテーマパークに出店するレストランのテーマ
コンセプトで、何ら社内からは意味のあるオリエンもメッセージもだし得ず、できるこ
とといえば、僕たちのチームを北海道大樹にあるチーズ工場に連れて行ったり、札幌に
ある資料館に連れて行ったり、果てはオランダの最果ての地に大堤防を越えて連れて行
ったり、あてもなくぐるぐると、世界中を連れ回し、やがて1年がすぎようとしていて....

そう、僕たちは最初はこのダイナミックな仕事を楽しんでいたけれどいつまで経っても
見えてこないこの企業の「テーマ」探しの旅に疲れ始めていたのだ。

たまたま入った札幌の資料館で僕はこの企業を代表すると思われるあるオブジェを見つ
けた。それは牛の首につける「カウベル」で、牛を放牧したときにカランカランと心地
よく、ちょっと滑稽な音をたて、牛の居所を知らせるものだった。
形も様々で、音色はなんだか風鈴に似たこのカウベル群が僕は、気に入り、このオブジ
ェを中心に構成したレストランテーマを出したのだった。

しかし、僕の企画に首を振った広報課長は、俄には信じがたい話をした。

ぐるぐる。

彼の話はこうだった。
私たちの会社の象徴として、カウベルはどうかという考えは実は、何年か前に自分たち
も思いついた。
そこで、このカウベルを形作った大きなオブジェを、屋上に設置した。
大きな鐘楼のようなこの巨大なカウベルは遠くからでも、認識することができ、絶好の
ビルの広告塔になる予定だった。
ところが、カウベルを屋上につり下げて間もなく、ある役員が首を吊って自殺した。原
因はノイローゼらしいが、よくわからない。

そのうち誰からともなく、妙な噂が広まった。
この役員の首を吊った姿が、屋上のカウベルに似ていたという。
いつしか屋上のカウベルが会社に禍々しい不幸を呼び込むのではないかというのだ。
会社は噂に悩みカウベルを屋上から撤去する決定をした。
その場所には、小さな祠が設置され、供え物がされている。都会の真ん中の、著名な企業の屋上にである。

この課長の話で会議は重く沈み、僕はもう一度テーマ探しの沈鬱な旅を再開することに
なった。

ぐるぐる。

< チグリスとユーフラテスから/ぐるぐる-狂気と滅びと再生と3 >

それから10年近くがたち、今回の大騒ぎになってから、そしてなぜか「チグリスとユ
ーフラテス」を読んでから、僕は、あの会社の屋上にあるという(見たことはなかった
)小さな祠と、あるはずだった(これも見ることはなかった)大きなカウベルを思い出した。

最初は10円玉くらいの汚染から始まった、「小さな禍々しさ」はやがて、手のつけら
れない巨大な「凶事」となって、今彼らを襲っている。打つ手はすべて裏目に出て、一
つのことをカバーしようと言う努力が次の「禍々しさ」を生みだし、組めどもつきない
「計算違い」が続いている。

思えば、「チグリスとユーフラテス」では、未来科学の盲点から始まった、ある種のD
NA異常が人間を追いつめ、最後にはこの星の文化そのものを滅ぼしていくという物語
だった。
一つの計算違いを埋めようと言う努力が、次の「計算違い」を引き起こし、滑稽なほど
「勘違いした」思いこみが、やがて喜劇を越えて大きな悲劇につながっていく。
だが、惑星には、今まで思いつきもしなかった、方法で最後の最後になって、希望が生まれる。

全体が滅んだ瞬間?いやその直前から再生の物語が始まるのである。

「いやあ、明日からはこれですよ、これ!」
人の「苦悩」(!!)など知る由もなく、不気味な話をした直後に両手でスキーの身振
りをして、のんきな笑顔を僕に見せた、あの実直さだけが取り柄だったような、あの広
報課長の風貌が思い出される。

実際、その会社には、スキーの達人がとても多かったのである。

つまるところ、私たちは先のことなど何一つわかってはおらず、
ぐるぐると繰り返しているのだ。

「狂気」と「滅び」と「再生」を

ぐるぐる。

馬鹿コンビ

朝日新聞の記事である。
ジェンキンス氏の処遇に配慮を求める小泉首相に向かって、ブッシュは
言ってのけたそうである。

ブッシュ
「(曽根さんが)家族一緒に暮らすのであれば、北朝鮮でもいいではないか」

小泉
「いや、日本と北朝鮮では生活レベルが違いすぎる」

・・・・・・!!

馬鹿コンビである。二人とも事の本質を見事にはずしている。
言うほう(ブッシュ)も言うほうなら、答えるほうも答えるほう(小泉)である。

誰か、この2人に国際政治を教えてやってくれ。

馬鹿コンビ!

June 01, 2004

「アメリカへの手紙」

「アメリカへの手紙」

数日前、友人達とともに私はユニバーシティとガイスト(フェアバンクスの通りの名)の交差点に立っていた。戦争へ急ぐ政府の姿勢に抗議するプラカードを持って。
耳を傾ける人は?
通りの向こう側にはふたりのGIが、「わが軍隊を支援しよう」の旗を振る。はっきりさせておこう。これはもうひとつの無意味な戦争に対する抗議であって、戦場で命を落とす若い兵士に対するものではないのだ。

はためく国旗を見ていると、かつての国家への忠義の誓いを思い出す。 そのころ、まだ若かった私はベトナムやカンボジアのジャングルの上を飛んでいた。 国のためにつくす誇りにあふれて。 今、私はアメリカ人であることを恥じる思いだ。アメリカよ、お前はどうなってしまったのだ。私の心は涙であふれている。

今でも正義と平等と友愛の気高き理想を掲げる我々の国旗を、お前は欲と利己主義と自己欺まんの下水管に捨ててしまった。 いのちそのものののエッセンスさえもう我々の身体にはそぐわないほど汚染された我が国の河川に流してしまった。

石化エネルギーで煙り、暖められた汚れた大気の中に乾してしまった。 そしてただ傍観するのみ。ローマが燃えているのを見てお前は鼻歌を歌っている。

多くの人々を犠牲にして、一部の者の利益を守ることが国民のためだと言う。 軍縮条約をはき捨て、地球温暖化防止の合意にも背を向ける。 創造主よりも金の神を崇め、物資の豊かさを追い求めるあまり、自国や他の国の本当に助けが必要な人々が目に入らない。

恐れからお前は、軍隊や軍事産業自身のためにしかならぬ無数の爆弾や銃弾やミサイルを吐き出し、これを正義と呼ぶのか。 基本的な衛生管理さえままならぬ貧しき社会が世界にあふれているのに、お前は巨万の富からわずかなほどこしだけを与え、世界を救えるというのか。

対人地雷で脚を吹き飛ばされたアフリカの子供を腕に抱えて運んだことがある。 お前は地雷廃絶条約すらも拒絶する。 なんたることだ。 エルサルバドルの首都のゴミ集積場で身体を洗うこともできぬ子供を膝の上に乗せながら涙を流したこともある。 世の中のひずみの中で、「世界のゴミタメ」で生きることを余儀なくされたこどもたちがいるのに、お前は世界の贅肉を食らって生きてる。

正当な手続きも、根拠も、希望もなく、我々の「敵」をかくまっているとして、キューバを悪の巣くつにしたて上げる。彼らもまた、お前と同じように心を傷つけられた人間なのに。

恐れから、お前は市民から自由を奪う法律をつくり、それを「愛国法」と呼ぶ。 ためらいもせず、お前は劣化ウランの爆弾を使い、(正義の)目的のために手段を選ばずという、偽りの知恵をもった者たちの過ちをくりかえす。 技術だけが進歩し、それを使う精神が病んでしまっていることに気づかない。

自分の心の中のかげりに気づかずに相手を悪党と決めつけ、戦争の種を絶やすより先に戦争を始める。そんな国家にお前はなってしまった。特権階級の、特権階級による、特権階級のための政府を持つ、敬われるより恐れられ、愛されるより厭われる。そんな国家にお前はなってしまった。 「すべての人民のための正義」という気高い理想は、「われわれだけのための正義」となってしまったことに気がつかない。

私は、われわれの国家の礎である、高き理想を取り戻すことに忠義を誓う、その志を見失ってしまった国家の旗にではなく。 私は、人類共通のヒューマニティに忠義を誓う、人々を分断する人工の境界線にではなく。私は、思いやりに満ちた、真に人民のための正義に忠義を誓う。 私は、不平等や貧困や病気や絶望など、戦争のもとになりうるあらゆる問題の解決を真っ先にめざす人々の努力に忠義を誓う。 そして、よい方法のみがよい解決をもたらすというシンプルな知恵に忠義を誓う。戦争は人間の問題の解決方法には、断じてならない。 私は永遠に忠義を誓う
、聖なる力-愛に。

誰がならず者国家だって? アメリカよ目を覚ませ! それはお前なのだ。

by ドンロス

ドン ロスはアラスカ、フェアバンクスに長く住み、元ブッシュ・パイロットである。
(訳責:土岐 帆)

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