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September 09, 2004

苦悩の創作ー水上勉氏死去

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もう何年前になるだろうか。
水上氏の創作の場を映像で紹介する番組があった。
氏は、ちょうど重度のスランプに陥って悩んでいた。カメラを意識することもなく
髪をかき上げながらうつむき、疲れきった表情で

「書けない・・まったく書けないんですよ、今・・」

とうめくように語っていた姿が忘れられない。
僕にとって、作家という職業のすさまじさ,
厳しさに、震撼した体験だった。

そんなにもこの番組が印象的であったのには理由がある。

氏と自分の家とは不思議な縁がある。
貧しく無名であった時代、氏は僕の祖母や伯母の住んでいた家の
近くに暮らしていた時代があった。
水上勉として名を成したことに、家族は驚き、昔の水上氏の思い出を
子供であった僕に語ってくれたことがあった。
そのときの氏に関するエピソードは、プライベートなことだから省くけれど
僕はこの、不思議な縁のある作家をどこか(変な話だが)誇りに思ってきた。

その「誇り」を、その真剣な氏の映像は裏切らなかったのだ。

今でもあの日の、髪をかきあげてうつむくしぐさと、
そして、どこか怖い闇の中を覗き込んでしまったような自分自身の
身震いするような感覚を思い出す。

テレビドラマ「飢餓海峡」の暗い衝撃も忘れられない。

荒れる津軽海峡。嵐の海。

あの厳しい風景は氏の創作の姿勢の厳しさとあわせて、僕は忘れることはないだろう。

安らかに眠られることを。
お疲れ様でした。

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Comments

おはようございます。
BigBanさんは水上氏と不思議な縁を持っているのですね。
その存在に「誇り」を感じることができる人と出会える幸せはかけがえのないものですね。
水上氏は生涯、書くことから逃げないで向かい合った方だと私は感じてます。
私もドラマ「飢餓海峡」には強い衝撃を受けました。
あの時、私が見て感じた得体の知れないものを紐解くために
水上氏の作品をどんどん読んでいったように思います。
私はまだ一度も津軽海峡を見たことがないのですが
いつか行くことができたらと思っています。
トラックバックありがとうございます。
私も送らせていただきます。ではまた。

トラックバックありがとうございます。BigBanさんの記事だけでなく、いろいろな方の記事を拝見していると、各々の方が感じてられる水上勉氏の魅力がひしひしと伝わってくるように思えます。

水上勉さんは、人の宿命や哀切を見事に表現する素晴らしい作家でした。若い頃は、TVにも時々出演されていて、彼のコメントを聞くのが好きでした。

亡くなったのが、残念です。

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