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December 11, 2004

少し落ち着こう--北朝鮮というカルマをどうするか

遺骨に深い執着と愛着を持つのは、日本で特有の心情文化である。
他の国において、全て死者の遺骨に日本人と同様の深いこだわりを持ち
これを祭る習慣があるわけではない。
だが、日本人なら皆わかるように、この故人の骨に対する深い敬虔で真摯な
思いこそが私たちが世代を超えて共有している、もっともナイーブな感情であ
ることは疑いない。

だからこそ、今回の横田めぐみさんの「遺骨」とされた骨に関する鑑定結果は、
おそらくここ数年で最悪の北朝鮮に対する嫌悪と怒りの感情を国内に引き起こしている。

自民党の政治家、拉致議連の委員は言うに及ばず、知識人やブログで普段冷静な論
陣をはっている一般の人たちの中にも、経済制裁にとどまらず、最悪の事態も考えるべ
きだという強硬論がここ数日渦巻いている。

さらに、これは僕はちょっと驚きの感情を持って聞いているのだが、拉致家族の会の横田さん夫妻自身が、終始北への強硬姿勢を崩しておらず、最悪数年の交渉の中断をも辞せずに経済制裁を断行せよという政府への要求姿勢を崩さない。
現在も北でご無事な可能性が出てきためぐみさんの命をも乗り越えて、いやそうではない。
命を守ることに命をかけてこられた からこその苦渋の姿勢であろう。

感情的で保守的、自己の利得的動機からも動きうる、信頼できない与党の政治家はともかく、命の中心をこの邪悪な(と呼ぶ。あえて)政権に翻弄されて半生、いや一生を煩わされ苦しまされておられる、横田さんだけではない拉致家族の皆さんには、本当にかける言葉もためらわれるし、その苦しみ如何ばかりか。
想像するにも苦しく申し訳ないくらいである。

そうした方々が、おそらくぎりぎりのところまで考えた結果、主張されている強硬論にそう無責任に反論してはいけないことは百も承知であるが、あえて別角度の視点を ここでは主張したい。

それは、私たちの最終目的はいったい何かということである。

メディアでは現在北に拉致された思われている方々全員の帰国もしくは安否の確認というところが言われており、それももちろん最重要なテーマではある。

だが、実はその向こうに、もうひとつ忘れてはならないテーマがある。
それは、かつて日本自身も無関係とは言えない一連の歴史的経緯の末に半島に築かれた、存在そのものが日本と朝鮮半島のカルマとも言える、北朝鮮という国家、そしてその国家に苦しまされている数千万の人々に対して、どのように今世紀、対峙して行くかということである。

誤解されるかもしれないが、僕はこの政権に対して寛容の心を持ち穏便に対応しろと
主張しているのではない。むしろ逆である。

私たちの最終目標は、このカルマの消滅である。

ここまで人権を弄び、人に不幸を与える政権に対しての解は、それ以外にない。
全てはそのための視点で設計されるべきであり、進められるべきであると考える。


たとえば、ここで経済制裁を行った場合、もちろん拉致された方々の安否も気になるが
(家族会の皆さんはそれも考えた上で、あえて強硬論を主張されているのであろう)
実際にこの制裁によって北の国家が崩壊する確率はどのくらいあるのか。
そして、仮に崩壊の可能性があるとすれば、そのプロセスはどのようになるか?
日本と周辺国のリスクは?アメリカの行動は?

そうした一つ一つの重要なファクターを、本当に苦しいけれど、一つ一つをぎりぎり踏みとどまって皆考えようではないか。それを最優先に。

特に気になるのが、こうして日朝が緊張の一路をたどったときの米国アホバカ強硬政権の出方である。
同じ民族の血脈を持つ韓国の存在、そしてイラクとは比較にならない強大さと言われている北の軍事力、大都市ソウルと38度線の距離、そして朝鮮戦争の記憶。

様々な要因がある中で単純にイラクと話を同じにはできないが、日本は、こうした意味での最悪のシミュレーションへの備えと対応を考えるべきときにきている。
多くのまったく罪のない日本国民が拉致され、多大なる不幸をその家族と私たちに与えている中、そして最悪テポドンが頭上に飛来するかもしれない中にあって、私たちはこうしたことどもに心をやる余裕は、難しいかもしれない。

だが、敢えて言おう。朝鮮半島は日本のカルマであり、どんなに不満があろうと運命的に隣接する国家である。その半島に住む数千万の人々の安定ないところに、私たちの国家、そして民族の安定も平和もありえない。

最終目標は既に書いた。

あらゆる手段は検討してもらいたいと思う。だが、それは冷静に。
計算しつくされた冷静さをもって進められるべきである。

さもなければ私たちの頭上を再び米国の機影が飛ぶことになる。
今度はまっすぐに一直線に、それもわたくしたちの国家の上に築かれた基地から直接に。
半島の災禍は今度こそ他人事ではすまない。

私とあなたの責任は重い。
侮辱された怒りを乗り越えてそれを考えよう。苦しくとも。

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Comments

tomorinと申します。
「少し落ち着こう」といわれると、確かにそうだと思います。もし、被害者家族が被害者の命を守るために強硬手段は慎重にしてほしいと主張したら、これほど世論は制裁論に傾かなかっただろうと思いますし、私自身も経済制裁を口にしたかどうか。
おっしゃる通りあらゆる手段を計算し、検討しなければならないと思います。ただ、意思表示は速やかに相手に伝えなければなりません。政府はすぐに厳重抗議をしましたが、それでもまだ足りないと思っています。日本国民の多くは最後通牒を突きつけたがっているとマスコミやインターネットを通して主張することは、それがどこまで相手側に届くかは不明であっても必要なことと思います。

最近、肩凝りで体調崩しており、不義理しております。
足の怪我のせいで、血行が悪くなり、往生してます(愚痴)。

北朝鮮の件、本当にそうですよね。
今、経済封鎖をしても駄目だなと、私は思うようになりました。根拠はマカオが北朝鮮の重要な資金源だから。
http: //www.tv-asahi.co.jp/hst/contents/special/041208.html
マカオを抑えられないなら、経済封鎖は有効に機能しない。つまり、中国の協力が不可欠。
よって、小泉が下野しない限り、経済封鎖は税金の無駄遣いになります。
福田さんをつれて来て、慰霊所設置が出来なきゃ駄目でしょう。
と考えてますが、ブログ書いてる体調じゃない(笑)

確かに冷静に判断することは必要です。しかし、国民の75%くらいが経済制裁に賛成しているというアンケート結果から見ても、それ相当の覚悟は出来ていると見るのが順当でしょう。また、金正日を推し量ってみても、実際どのくらいの統率力があるのか、どうも裸の王様になっているのではないか、と言うことを考慮しても、彼に直接知らしめるにはレベル5からやるのが妥当と思います。日本は戦後60年間今のような決断を迫られることが無かったので、ここは一つ腹を決めてかかる必要がありますよ。

はじめまして。さきほどTBさせていただきました。
私も北朝鮮問題については、すっきりと整理できているわけではありません。自分の記事ではまだ展開してはいませんが、日本単独の経済制裁の実効性については限定的であろうと思います。日本は北朝鮮の輸出入の相手方としては、中国、韓国よりも少ない立場です。ただ、その範囲でも一般民衆への打撃を少なくするためにはどうするべきか、という精査は必要でしょう。
外堀からという意味では、中国との連携が必要です。そのためには中国の対北朝鮮政策を転換させるという難問をクリアしなければいけませんが。

BigBanさん TBありがとうございました。

政府は対話路線をとる。
与党は強行論を煽る。
政府が北朝鮮への反感という国民世論を抑えるような状況を演出し、それを利用して北朝鮮との政府間交渉を優位に進めたいという思惑もあるのかもしれないと最近思います。
「国民は反感を持っているが、私(政府)はそれでも北東アジアの安定の為にあなた方(北朝鮮)との対話を進めたいのだ。」
という対北朝鮮向けのシナリオを想定しているような...
つい、現政府の得意なマスメディアを通した世論の操作が頭を掠めます。
国内世論の反感を外に向け、国内の方向性を操作する方法は中国や最近のアメリカがこれまで利用しており、日本もそれを有効な物として採用しようとしているのかも知れない。
しかし中国を見ても判るように、これは一人歩きする。
それだけで済めば有効かもしれませんが、これは別の対中国問題、イラク問題にも国民の過剰な内向きな認識をもたらし、再軍備化、改憲、親米路線など結びつき、これらの議論を歪めてしまうことに繋がる危険があることも認識すべきだと思う。

>tomorinさん
確かに冷徹な計算を保持しながらも、相手に対して圧力をかていくことは必要だと思います。問題は、どれだけそれが冷静に行うことができるかということだと思います。
そのあたりのしたたかさいおいて日本はメディアも国民も今ひとつ不安があると思ったのです。

>りーとさん
大変ですね。ぜひぜひ大事になさってください。
記事でも拝見して案じていました。りーとさんは戦友(笑)だと思っていますから。
一説では、表面に出ている北への送金はおよそ年間300億円。韓国が800億。中国が1500億。これだけ見ると経済制裁は大したことがないように見えますが、在日の北への送金が、はっきり把握されていないものの千億円以上あるということ。
これが送金停止で途絶えるようなことがあれば、かなりの痛手とも言われているということですが。
実際中国が背後にいる限りは、息は途絶えないでしょう。
ですが現状の情勢で中国からの協力が得られる見込みは薄いでしょう。


>hitoriyogariさん
コメントありがとうございます。今回の遺骨の事件でも金正日がどれほどを掌握しているのかが不明です。まだ相手からのコメントもないようですし。事態がかなりコントロールできないような状態になっているのなら、逆に圧力をかけたときに思わぬ方向に暴発する危険もあります。
安全保障の観点からも慎重さは求められると思います。もちろん、毅然とした態度での交渉は必須ですね。


>主義者Yさん。
お久しぶりです。サイトで書かれている

>今回の遺骨捏造については、その実際を知らされない北朝>鮮外交部が、日本側の調査結果発表を聞いて混乱している>可能性も考えられる。

という見方に私は賛同します。北の、当方への外交姿勢そのものが混乱状態になっており、金正日が把握しきれなくなっている可能性があります。
平和に民主的政権への移行もしくは韓国への統合がなされることがベストだと思いますが、気になるのは米国の介入です。
既に板門店を警備していた米軍は姿を消していますが、より後衛に下がって陣を組みなおしているという説もあり、まさかとは思いますが気になるところです。

>Fairnessさん
今晩は。いつもありがとうございます。

>これは別の対中国問題、イラク問題にも国民の過剰な内向>きな認識をもたらし、再軍備化、改憲、親米路線など結び>つき、これらの議論を歪めてしまうことに繋がる危険があ>ることも認識すべきだと思う。

同意します。北朝鮮問題は、日本にとってはのど元につきつけられた短剣であり、同時に現政権のあらゆる外交面での対米追従の正当化に使われる危険があるし、実際そのように利用されていると思います。
さらに恐れるべきは、日本国民の中に先の大戦でも見られたような、集団的な国粋ヒステリーが巻き起こることです。
既に先来の香田さん事件でも露呈した、体制を擁護する形での感情論の突出は、日本人の持つ危険な特性の一つだと思っています。
冷静な知を守ることは容易ではないけれど、こうしたツールを使って、微力ながらできる範囲の警鐘は鳴らしていきたく感じます。


BigBanさん TBありがとうございました。

私は苦しんでいる北朝鮮の人民を無視した「食糧支援打切り」の姿勢には疑問を感じますが、現体制の打倒あるいは変革には大賛成です。

しかし現実は現実です。気に入らなければ「殺せ」という恐怖の政治がわが国のすぐそばにあります。

解決は難しいと思います。
あまり感情論に走らないよう自戒したいですね。

うめチキです、こんばんは。

トラックバックさせていただきました。
経済制裁はたとえ効果が無くてもやるべき、という意見もあるようです。
日本もやるときはやるんだという態度を示すだけでも重要という主張です。
でも「やるぞ!」っていうアピールは、その行動に実効的な意味があるからこそ成り立つのであって、やっぱり経済制裁は『百害あって一利なし』な気がします。

僕は中国を味方につけることが拉致問題解決の最短ルートだと思っています。
しかしながら、拉致問題はあくまで2国間交渉という立場を崩さない日本政府。

一方で北朝鮮脅威論に基づく防衛政策が動き出したのを見ると、実は政府は拉致問題をわざとこじらせているんじゃないかな、とか思ってしまいます。
もちろん裏で蠢いているのはMDで大儲けしたい国内外の軍需産業と、あくまで日本に開発資金を肩代わりしてほしいアメリカ。

TBありがとうございました。

平和的な解決で、被害者全員の帰国を切に望んでいます。

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