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May 01, 2005

平島筆子さんのこと----頭を上げよう。

唐突な例から始めることをお許し願いたい。

自分の子供と、友人の子供が2人で川で溺れている。通りかかったあなたは、どちらを先に助けようとするだろうか。なぜか友人とそんな話になったことがある。

僕は、「そこに2人の子供が溺れているという事実以外、何もない。両方を助けようとするだろうし、無理なら助けられる一方を助ける。」と答えたところ、友人から一笑に付された。

「そんなことはあるわけがない。俺はまず自分の子供から助ける。お前だってそうだ。嘘をつくな。」というのが彼の言い分である。

僕はそれに対し、

「嘘などついていない。そこに溺れている2人の子供がいる。それ以上のことを考えて行動したくない。この件は何回聞かれても答は変わらない」

と答え、多少気まずい雰囲気になったことを思い出す。

あのときの僕の答は、100%真実だったろうか。このことを時折思い出す。友人は僕の発言は白々しい偽善ととったのだろう。「何回聞かれても答は変わらない」と力んだのは真実の僕の気持ちだったとしても、実際にそういう場面に遭遇した時、自分が「然るべく」行動できるかどうか。それはわからない。あるいは彼の言った通りの行動を、絶対とらないとも断言できない。

だが、これだけは言える。もしも自分が彼の言うような行動をとってしまったとき、僕は後々まで自分が許せないだろうし、そのことによって苦しむだろう。

前振りが長くなった。実は書きたかったのは、、2003年に中国を経て帰国した日本人妻、平島筆子さんのことである。
平島さんは、2002年暮れに北朝鮮から脱出。中国の潜伏先から日本のメディアを通じて川口外相(当時)に「日本にかえって祖国で死のうと思って生きてきた。早く助けて」と嘆願書を送った。中国の公安当局に保護され、2003年1月に帰国。同年7月には「北朝鮮に残る子どもの安全確保を」と記者会見した。
ところが、平島さんは、子供や身内に会うためと称して中国へ向かい、北京の北朝鮮大使館で会見し、北朝鮮を脱出したのは「だまされたため」として再び北朝鮮に戻ると表明した。そのうえあろうことか朝鮮中央放送に出演し、「私は日本に誘拐・拉致され、反共和国的宣伝に利用されました」、「日本のテレビは朝鮮について、すべて悪く言います。私が日本に行ったのに、我が党は子供たちを差別することなく大学にまで行かせてくれて…金正日将軍、万歳」などと30分にわたり発言した。

もちろん、この人の人生にどんなことがあったのか、真実はわからない。
だが少なくとも、脱北した後、中国から日本大使館に助けを求めたときの彼女の困窮は真実だったとしか思えない。日本人の多くが彼女に同情し、何とか助けてあげたいと思ったはずだ。自分もその1人だった。
何もできてはいない自分だけれど、それでも今回の彼女の「仕打ち」にはショックを受けたとしか言い様がない。どう考えても、彼女は「何らかの力」に負けて再び北へ戻った、あるいは戻らされたとしか思えず、その「何らかの力」が、平島さんと、平島さんの子供達などの安全を脅かす性質のものだったということは想像に難くない。

数奇な運命に見舞われ、生命ぎりぎりの生活を強いられてきた平島さんを、批判することは自分にとっては、あるいはその役割ではないのかもしれないが、思うことがある。

人は、自分の命をあきらめても、あるいは、もっとも愛している人の命をあきらめても、守らなければならない一線があるのではないか。

彼女を助けるために、尽力した多くの人、そしてそれを支えた国家を裏切り、それでも守るべきは命なのだろうか。特に、今回の彼女の行為で多くの、他の脱北者、あるいは脱北者支援の人々の情報が漏れ、危険に晒されることが懸念されている。

今一度問う。人はこうした多大な危険を人に強いてまで、生き残らなければならないのだろうか。

もちろん、こうした仮説が正しければ、憎むべきは北の国家である。それは百も承知の上で、敢えてここで、おそらくもう二度とは戻ってこないだろう平島さんを批判するのは、彼女が、多くの救いを求める「子供達」のことを、見捨てて、自分と自分の子供達の命を優先してしまったように見えてならないからである。極めて残念で無残なことだ。彼女にとっても、そして私達にも。

いや、やめよう。憎むべきはここまでの行為を人に強いたその「力」であることを。肝に銘じるべきだろう。最終目標を忘れずに、この驚嘆の国家と対峙しなければならないのである。これからも。打ちひしがれて頭を垂れるのはまだ早い。

そう思って頭を上げることにしよう。

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Comments

はじめまして。
T/Bありがとうございました。
今後とも宜しくお願いします。

この問題は、仰るように非常に深い問題です。
憎むべきは北鮮というのは分かりすぎるほど分かっているのですが、どうも何か釈然としないものがあります。

彼女の意思がどれほどあったのかは知る由もありませんが、
少なくとも、彼女の気持ちを絆すほどの状況と強制的な圧力があったのでしょう。
拉致問題もそうですが、この問題も避けては通れない問題だと痛感させられました。

トラックバックありがとうございました。
週末,いくつかの番組で平島さんの記者会見の模様を流していましたが,いかにも無理矢理いわされている姿が痛々しく思えました。
自分さえ我慢すれば孫たちは殺されずにすむ,そう思いながら北に向かったんだろうと想像します。

はじめまして。big bangさん、この事件はあきらかに日本と北の政府が繋がっていると思いますね・・・なぜこのタイミングで不自然な事件が起きたのか、何かウラがありそうです・・・

ちなみに最初の譬え話ですが、私は自分の娘とその友達が自転車にぶつかりそうになったとき、友達のほうをとっさに助けました・・・幸い娘のほうはおでこを掠っただけでした。

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