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October 24, 2005

恢復する力----中越地震と小千谷の花火

hanabi

昨日、八王子の祖母の家へ往復する車の中でこの番組を車内のテレビでずっと見ていた。泣かせ番組と知りながら、つい嵌ってしまったという話。

「江口洋介が追い続けた1年 中越地震の町に咲いた超特大花火~花火の数だけ涙があった~」

新潟県の小千谷市には世界一の特大花火「四尺玉」を打ち上げる「片貝まつり」というものがある。この「片貝まつり」の花火は、スポンサーのほとんどが個人であり、それぞれのメッセージを花火の打ち上げ前に場内に流し、夜空にその思いをこめた花火を打ち上げるというものである。
通常の花火大会とはかなり異なり、生きて呼吸している、その地に暮らす人々からのメッセージが花火によってプレゼンテーションされるという形式の祭である。

俳優の江口洋介がこの祭に訪れる様子を中心に、成人式を迎える町の若者たちの様子や、復興への思い、大切な肉親を病で失った人たちの回復への道程を取材する形式で描いていて、この番組自体、見事なドキュメンタリーになっていたのだ。
思わず車を止めて、車内で見入ってしまった。

地域のコミュニティが、元来内在しているある種の恢復の機能について考えた。大切な部分の喪失を余儀なくされ、命のぎりぎりのラインまで傷ついた人々を、地域の祭とか、人と人との関係とかそういう、土地に宿っている磁場のようなものが癒していく、古来の力のようなものが、あらためて思い起こされた。

自分は比較的都市に属する地域に生まれ育ち、こうした経験、地域が全体として癒しあい、かばい合い、喪失から恢復する人々の背中を押していくというか、互いに支えていく、良い意味での日本的共同体の力をもらう機会に恵まれなかった。というより、もっと根本的なところでいろいろな力に恵まれなかったのだけれど、成人の儀式に臨む小千谷の若者たちを見ていて、ああ今でもこういう若い日々をおくっている若者たちがいるのだなあと、ある種の感慨を味わった。

Blogsphereの中で苦しんでいる多くの人達のことも心によぎったのだけれど、こうした人々に、あるいは自分自身に欠けているのは、こうした大きな空間とか自然とか、ある種「非合理」で「不可知」な癒しの恩恵を受けることができないでいることではないかと思うのである。

ブログという先端のツールによるコミュニティにも、無論こうした伝統的な地域の「恢復力」に近い、あるいはその新しい形の発露のようなものは十分宿っていると思うのだけれど、現実の地域で数百年かかって作られた「魂」のようなもの--その地域の地縁、血縁の託ち出す、土地の、あるいは空間の持つ力を外に引き出し、人の心に強い癒しとして与える仕組みのようなもの---それらを全てこの未来型のサイバー空間の中で補完するまでには、至っていないのだよなあ。

都市化とか、災害後のコミュニティの崩壊とか、今進行している地域の市町村の統廃合とか、そうした事柄との関連が浮かんでくる。

「優しさをなくした政治」という表現は、今では小泉の「小さい(苛烈な)政府」を批判する場合の野党の決まり文句となっている感があるのだけれど、厄介なのは現実の政治社会の中で簡単に「抵抗勢力」とか「守旧派」などとレッテルを貼られてしまう、日本の古い隠微な性質もまた、この癒しの地域空間に隣接して支えられているということだ。

何かを破壊することで、期せずして、その隣接する場所の価値も破壊してしまうことはよくあることだけれど、物事は広く見なければ、弱者切り捨て御免の社会体制の、負の部分がなかなか見えてこない。それらは得てして、現代国家に対峙する不合理や情念の領域に内在しているからだ。

そして思えば、あの中越地震が起きたとき、1年前の今頃僕は、この「地が揺れる深い夜に--みんな生き延びよう」を書いたのだった。いつにも増して、あの夜も僕は生き難く、人と自分の「生きる力」を信じたかったのだけれど、あの夜の僕の傍らには、しっかりと信じ合える魂が寄り添ってくれていた。

今となればその奇跡に感謝すべきだろうと思う。

小千谷の花火を見ながらそんなことを思ったよ。

#番組の花火を見て?ああ散々泣いたさ。
まんまと制作者の意図に乗って。悪かったね。

【参考リンク】
●にいがた夜物語 -片貝まつり迎賓館-

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Comments

★こんばんは。トラバ、ありがとうございます。この記事を読ませていただきました。稚拙な言い方ですが、すごい文章力ですね。。なんだか、小説を読んでいるようです。
同じ感情を共有できて、うれしいです。

トラバありがとうございます!
この番組よかったですよね~。
この祭見に行きたくなりました

>ひろぶぅさん
>ぽりけんさん

まとめてのコメントで失礼します。
この番組、よかったですね。お涙な題名でちょっと敬遠しそうになってしまったんですが、見られて良かったと思います。時間帯がちょっといまひとつでしたね。夕方の見やすい時間帯だともっといろいろな人に見てもらえたのにと思います。

僕も小千谷に花火を見に行きたくなりました。

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