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November 07, 2005

板門店レポート(2)----敵の行動によっては死亡する可能性があります

「多いときは1日2回ってどういうことですか?」と聞くとKさんは説明してくれた。彼は、DMZに面した北朝鮮の宣伝村を長年撮影しているアマチュアカメラマンである。

※宣伝村は非武装地帯にあるが、洗濯物や煮炊きなどの痕跡が何十年間もないことから、住民が一人も住んでいないと言われている北朝鮮の、南側への宣伝を目的として作られた村である。ここには世界最大と言われる北朝鮮の国旗掲揚塔があるが、その上げ下ろしと南側の監視の目的で15-20名が住んでいるにしか過ぎないといわれている。
遠目には一見近代マンションが林立しているが、マンションはおろか、その窓ですら偽装であると言われている。

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(北朝鮮の宣伝村 →一見近代的なマンション群である。数十名しか居住していないし、全員偵察員だと韓国側ガイドは言う。現在は南北共に宣伝放送は停止している)

Kさんはこの宣伝村を望遠で長年撮影しているが、DMZをはさんで対峙する宣伝村は、その日の天候によって大きく視界を左右される。天候の良い日だと通行する「住民」の顔まで見えるが、天候不順だと撮影はできない。勢い、Kさんは執拗までに何度も通いつめることになるのだが、なぜそこまでして宣伝村を撮るのか、仔細は明かしてくれなかった。執拗にツアーに参加し続けるKさんの行為は韓国政府の知ることとなり、呼び出されてその意図を詰問されたことすらあるという。聞けば写真展や出版も企画しているのだが、それには国連軍の許可が要るということで、それも具体化していない。

一体、何を目的にしてそこまで撮るのか。何とも不思議な人である。

そうこうするうち、ガイドが板門店見学の注意を説明し始めた。ツアー参加前にもこれは提示されていたが、それによれば

(1)ここで撮影ができると言われたところ以外は全て撮影禁止である。

(2)ジーパンもしくはそれに類した服装は駄目。このバスの中に替えの服が用意してあるので軍に注意された場合、着替えてもらう。理由は、ジーパンは米帝国主義の象徴であるとして北朝鮮兵士をいたく刺激するからだという。

※ここで私はKさんが立派なブルージーンズをはいているのを発見。Kさん、「大丈夫、大丈夫。これで昨日も行っているから。昔ほど厳しくないんです」と笑う。やれやれ。

(3)迷彩服やカーキ色の服も禁止。これは理由は言うまでもあるまい。

(4)サンダルなど脱げ易い履物は禁止。DMZではいつ「非常事態」が発生しないとも限らない。全速力で走って逃げてもらうかもしれない(!!)国連軍は、そうした事態の際、運動しにくサンダルなどを履いている見学者を保護しきれない。

(5)これより先は全面的に国連軍のゲストとして、その指揮下に入ってもらう(!!)必ずバッジを着用すること。全ては国連軍の判断に従うように願いたい。見学終了は2時頃だが、非常時の場合には時間は彼らによって自由に変更される。板門店JSA内に入れない場合もあるし、すぐに帰れない場合もある。(!!!)

(6)絶対に北朝鮮の軍人を指差さないこと。攻撃とみなされる場合がある。(!!!!!)

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(国連軍ゲストのバッジ)

そして「訪問者(見学者)宣言書」という誓約書にサインをすることを求められる。その冒頭には以下の文字。

1.板門店の統合警備地区の見物は、敵性地域への立ち入りを伴わない。敵の行動(活動)によっては危害を受けるまたは死亡する可能性があります。統合警備地区は中立地域ですが、一方(南)は国連軍の軍人により、他方(北)は北朝鮮の陸軍軍人によって、それぞれ分割警備されています。
国連軍のゲストの皆様は、軍事境界線を越えて北朝鮮軍の管理する統合警備地区に立ち入ることは許されていません。
また、事変・事件を予期することはできませんので国連軍、アメリカ合衆国および大韓民国は、訪問者の安全を保証することはできませんし、敵の行う行動に対して、責任を負う事はできません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!

バスの中は通夜のように静まり返って誰も口を利かなくなった。
何か悪い冗談を聞かされているようである。この話に落ちはないのか。頼むから「言い過ぎました」と言ってほしい。結構なところに来ちゃったんじゃないか・・おれ。

それをよそに隣でKさんがささやく。

「見えてきましたよ!あそこあそこ!」

●板門店レポート(3)----JSA内へ

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