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November 12, 2005

板門店レポート(3)----JSA内へ

●板門店レポート(1)----変り始める空気
●板門店レポート(2)----敵の行動によっては死亡する可能性があります


「臨津江(イムジンガン)と漢江が合流するんです。そうすると(北朝鮮が)見えてきますよ」

朝鮮の人々にとって国きっての二つの大河、臨津江と漢江が合流するまさにその地点で民族が分断されたという皮肉。そして悲劇は、臨津江(イムジン河)という歌にも、切々と歌いこまれている。日本人でも知る人は多いだろう。

「イムジン河」

イムジン河 水清く とうとうと流る
水鳥 自由にむらがり 飛び交うよ
我が祖国 南の地 想いははるか
イムジン河 水清く とうとうと流る

北の大地から 南の空へ
飛び行く鳥よ 自由の使者よ
誰が祖国を 二つに分けてしまったの
誰が祖国を 分けてしまったの

イムジン河 空遠く 虹よかかっておくれ
河よ 想いを伝えておくれ
ふるさとを いつまでも忘れはしない
イムジン河 水清く とうとうと流る

朴世永原詩・松山猛訳詞・高宗漢作曲 ) 

Kさんの言葉通り、臨津江と漢江の大きな流れが、バスの左手でまさに合流しようとしていた。そして、その合流した地点をはさんで遥か先。うっすらといくつかの建物が見えてきた。


「北朝鮮です。」

とKさんが言う。僕はバスの窓にへばりつき、初めて見る国の遠影に目を凝らした。ここから先。ソウルから90分走ってきた我々の世界がここで終わり、ここから先には、全く未知の世界が広がっている。何度もテレビや新聞では見たけれど、今僕が生きている世界と、北朝鮮の空気の繋がりはリアルに感じることが出来なかった。自分の暮らしている世界とは異次元の、遠い遠い別の世界でしかなかった北朝鮮。

それがいま目の前に現れようとしていた。

山があり、河がある。そして家がある。空は続いているが、その空気は見えない境界で、厳然として「2つに」区切られていた。

Kさんにはおそらく僕の興奮が伝わったのだろうと思う。その様子を興味深げに眺めている。そして

「ずいぶん晴れてきましたねえ。良かった・」

とつぶやく。確かに気がついてみれば、朝ソウルを出るときには今にも降り出しそうな天気だったのに、すっかり空は明るくなっている。

「これなら撮影できるかもしれません」

北朝鮮の宣伝村を撮影しようと、昨日に続いてこのツアーに参加しているKさんはほっとしている様子である。

間もなくバスは共同警備区域(JSA)の検問所に連なる車列に着く。韓国軍の検問である。

JSAでは約800m四方のエリアに、24棟の建物が建っている。その中にはよく映像でおなじみの、北朝鮮との最接近地域・軍事停戦委員会の会議室や事務所、各種の会議棟が建っている。

「みなさん、ここから先は戦場です。どんなことがあっても全て軍の指示に従ってください。兵士が今から乗り込んできますから、パスポートをはっきりと見せてください。たまに兵士から服装について注意がある場合があります。その場合には、代わりの洋服をバスの中に用意してありますから、それに着替えてください。」

ガイドの声が響く。さらに

「ここから先の場所で任務についている兵士は24時間大変に緊張しています。どんなときも大声を出したり、急に走ったり、それから兵士を指差したりしないでください。先ほど言ったように、写真は原則として撮影できません。許可のある場所では撮って良いですと私が言いますから、それ以外の場所では絶対に撮影しないでください。」

バスの中がまた静まり返る。

やがて韓国軍の迷彩色の軍服に身を包んだ兵士がバスに乗り込んできた。前から順に一人ひとりのパスポートをチェックして回る。丁寧だが笑顔はない。
僕はさっきから迷っている。JSAゲートと、パスポートチェックの兵士を何とか撮影できないか。手の中でカメラ付携帯電話を握り締めるが、撮影音のことを考えるととてむ無理だ。勇気が出ない。

やがて無表情の兵士が目の前に来る。無言でパスポートを差し出すと一瞬兵士と目が合った。若い。どう見ても、昨日の夜過ごしたミョンドンでデートしている若者たちと同世代である。

バスはゲートの中に入る。いよいよJSAの中に入ったのだ。

この後国連軍のバスに乗り換えるために、乗客は全員バスの外におろされる。殺風景な駐車場のような場所に、国連軍管轄のバスが待っており、護衛のための武装したジープがいる。駐車場にはJSAの紋章。降りた場所で乗客は1列に並ばされて再度パスポートチェックである。一人ひとり、国連軍のマークをつけた兵士にパスポートを見せる。

「感じが悪いな。並ばされるなんて何だかいやだな・・」

と誰かが小声でつぶやくけれどみんな反応しない。

このあたりで僕は許可なしの場所で撮影して帰ろうという意欲を失い始めていた。目の前にある圧倒的な「力」を前にすると、人はとにかくその場を無事にやり過ごすことしか考えなくなるというが、その気持ちがわかったような気がした。目立ったり、目をつけられたりしないように。それしか考えなくなる。

_046

(国連軍のバスに乗り換えるJSA内の駐車場)
※いずれも写真はクリックすると拡大されます。


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(米国旗と国連のJSA紋章が並んでいる。ここでは写真が比較的自由に撮れる。)

_152
(バスの扉にもJSAの文字が)


_154


(護衛の国連軍ジープ)


いくら兵士の態度が丁重でも、ここは「休戦状態」にある「戦場」である。その空気が一層強く感じられた。

パスポート検査を終えて、国連軍のバスに乗り込んだ。見ると運転手も(当然ながら)迷彩色に身を包んだ国連軍(米軍)兵士である。黙って横を通って席につく。座席は先ほどまでのツアーバスと全く同じ席順を強いられる。席を替わったり移動したりする自由はない。

●板門店レポート(4)----軍事境界領域の村、大成洞へ

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