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November 13, 2005

板門店レポート(5)----奥の軍人の背後には

●板門店レポート(1)----変り始める空気
●板門店レポート(2)----敵の行動によっては死亡する可能性があります
●板門店レポート(3)----JSA内へ
板門店レポート(4)----軍事境界領域の村、大成洞

一般的に「板門店」といえば、この光景を思い出す人が多いと思う。映画「JSA」でも盛んに登場した。中央に並ぶ軍事停戦委員会の建物。その間に見える北側の建物、板門閣。「おの殺害事件」を契機に、国連軍、北朝鮮軍のそれぞれの兵士が極力接触しないように、再構成された板門店で、両軍の兵士がもっとも接近するのがこの場所であるし、もっとも南北の緊張関係を凝縮して味わうことができる場所でもある。

軍事委員会の建物は南北の軍事休戦ラインをまたぐように建っており、この軍事委員会の建物内で当直将校の調整会議が毎日行われるほか、重大な局面があったときにもここで会議がなされる。

___123

(振向きざまに辛うじて撮影した軍事停戦委員会の建物と
警備に当たる国連軍の兵士(手前)。奥に立つ3名は北の兵士。
手前の国連軍兵士は、体を半分建物に隠している。
これが身を守りながら、隠れた部分で武器に手をかけ、
直ちに攻撃態勢に入れるという厳戒の姿勢であるという)
※いずれも写真はクリックすると大きくなります。

僕たちはガイドに先導されて1列に並んでそのエリアに向かって歩いていく。テレビニュースなどでよく見るあの場所が目の前に広がってきた。思ったよりも小さな空間だ・・こんな狭いところなのか・・と思ったとき、Kさんが耳元で小さな声でささやいた。

「本当はね、北の見学者とぶつかると面白いんですよ。向こう(北朝鮮の兵士)がね、慌てて、ばたばたするときがあってね、境界線の近くまで来ることがあるんですよ。ハプニングがあったりね」

なるほど・・

と、そのKさんの声に呼応するようにガイドが、停止を命じた後

「今、北からの見学者が先に会議室に入っているようです。もうしばらく待ってください」

と説明する。

「やった!」とKさん。

「面白くなりますよ。めったにない。ついてますね」

「・・・・・・」

ついていると感じるのは正常な感性なんだろうか。とにかく何度となく来ているKさんが言うのだから、稀な出来事だというのは間違いないのだろう。

しばらく待たされた後、北からの見学者が去ったということで、入れ違いに会議室に入る。あっけないほど狭い、小奇麗な小さな会議室。
国連軍の兵士が2名、一人は北に向かって左側の壁に立っている。そしてもう一人は、一番北側の入り口の前に。僕たちから見ると一番奥に立っている。

ガイドが言う。

「この中は撮影OKです。こちらの(と左の壁の兵士を指し)軍人と一緒に記念撮影も出来ます。ですが、話しかけないでください。軍人は皆さんと話をしません。」

話が終わらないうちに兵士の側に立ち記念撮影を始めるツアー客がいるが、兵士は確かにぴくりとも動かない。何事も起きていないかのような直立不動を崩さない。その側で日本から来た観光客が記念撮影をしている。異様な光景である。

「ただし!」

ガイドが続ける。

「奥の軍人。奥の軍人の背後には絶対に回らないでください。あの軍人の後ろに立った場合、皆さんのことは保証できません。」

「!!」

皆、恐る恐る奥の兵士から距離を置く。一番北に近い場所に立っている兵士の方をよく見ると、その後ろに小さな扉がある。なるほど、あれを開いて外へ出てしまえば、そこはもう「北」なのだ。そちらに向かい写真を撮る。
会議場の外を撮影してもいいようなので、右の窓に近づき、下を見ると、確かに軍事休戦ラインを示す石の境界線が埋められている。

___057
(「左側の」兵士と会議場のテーブル。
この兵士とは記念撮影も可)


___056
(「奥の」兵士が見える。背中にしているのが、北側に
通じている扉である)

_054
(窓から見える軍事休戦ライン。
建物の真下を横切っている)

KC320041
(会議場他数箇所で集合記念写真を撮ることができる。
最後にアルバムにまとめて販売される。このときも
兵士は微動だにしない)

そのとき、Kさんが

「来た!来た!」

と僕の肩をつつきながら叫んで左の窓のほうに駆け寄った。窓の外に茶色の軍服がよぎった。北朝鮮の兵士だ。僕もKさんについて左の壁に寄った。
Kさんが言う。なるほどハプニングというのはこういうことなのだろう。後から聞いて見たところ、北からの観光客のサポートなど特別なとき以外は、北の兵士がこちらの視界に入ってくることは稀なのだという。
北の兵士に、南側の観光客へのサービス精神があるとは思えないので、おそらくそれは本当なのだろう。

窓の外に生まれて初めて見る北の兵士が立っていた。息を凝らす。

051028_112401.jpg

(窓の外までやってきた北の兵士。こちら側には完全無視。
襟元に黄色い章があるのは士官だそうだが・・)

この後、手前の「危険でない」兵士を入れて全員で記念写真を撮った後、また一列に並んで会議室を後にした。

「絶対に振り返らないでください」

と言われて、写真を撮る暇がない。それでも振り向きざまに何とか、ぼけた写真を納めた。

展望台に上がると、北の板門閣が間近に見える。左のほうにテレビカメラを構えた人物。Kさんによれば、ああやって始終全ての南側の観光客をカメラで収めているのだという。気分のいいものではない。

※しかし、この日のテレビカメラについては後から意外な展開があった。別の回に後述する。

観光客と思しき一群がこちらに向かって手を振っている。

ガイドが

「絶対に手を振り返さないでください。北の宣伝に利用される」

と注意していたので、手を振り返す者はいない。皆黙ってその手を振る一行を所在無げに眺めているだけである。

_133

(板門閣のテラスに出ている北の観光客)

___129
(拡大したところ。左手にカメラを構える人の姿があるのだが・・)

KC320040
(後から販売されるアルバムの表紙。このように
大勢の兵士が出てくるときは、捕虜や戦闘による
遺体の引渡しなど特別なときがほとんど)


●板門店レポート(6)----若い兵士たち へ

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