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November 06, 2005

板門店レポート(1)----変り始める空気

「これじゃあ今日も駄目かもしれないなあ・・・」

隣でカメラマンのKさんが空模様を気にしている。

「思いのほか距離があるものなんですよ。1000ミリのフレックスを持ってきているけれど、空気がこれじゃあね・・温度が高すぎると透明度がとたんに落ちるんですよ」

Kさんの言葉にうなずきながら、左に広がり始めた漢江の殺風景な流れに目を凝らす。どのくらい来たんだろうか。道路の脇には既に鉄条網が張り巡らされ、異様な風景が広がっている。僕の様子に気がついたのか、Kさんが覗き込みながら声をかける。

「もうすぐ臨津江(イムジンガン)と漢江が合流するんです。そうすると(北朝鮮が)見えてきますよ」

朝の8時半にソウルのロッテホテルを出発した板門店ツアーバスは満員だった。乗客は40名ほどもいるだろうか。比率は男6対女4くらい。ほとんどが日本人だが、一人西洋系の女性の乗客が乗っている。アメリカ人かもしれない。まもなくソウルを出てから1時間ほどになる。たったそれだけのドライブでも、僕たちを囲む空気はすでに変りつつあった。

この日は朝から小雨が降る陰鬱な天候だったことも関係していたかもしれない。普通の観光ツアーとはやはりどこか雰囲気が違う。

板門店に来たのは、父の影響もあったけれど、北朝鮮という国を自分の目で見て見たいという気持ちがあった。見てどうなるというわけでもないだろう。それはわかっているのだが、この世界に、僕の生活しているこの世界の空気の先に、あの国家が幻ではなく、確かに存在しているということを、皮膚で確認したかったのだ。
もちろん板門店まで行っても、この国家のほんの縁の部分が見えるだけだ。それはわかっている。わかってはいるのだけれど。

板門店へのツアーは4種類ほどあり、毎日出ているのだが、基本的に韓国人は板門店に行くことはできない。というか、行けないことはないのだけれど、手続きに何ヶ月もかかるので実際問題相当難しいというのが正確な表現だろう。勢い、ツアーは日本人が殆どになる。バスはほとんど毎日満員だが、それでもせいぜい1日に150人程度が行けるだけである。仮にそれが年間半分行われたとしても(このツアーは当然ながら政情の不安定を事由に行われない場合も多くある)年間2万人くらい。その全てが日本人ではないから、周囲に板門店を訪れた人が意外と少ないことも、僕の関心を高めていた。

僕の申し込んだツアー会社は「デジタルハーツ」という旅行会社で、板門店の他にも北朝鮮が掘った侵攻用のトンネルをめぐるツアーや、DMZ(朝鮮戦争によって生じた幅4キロの空白地帯=軍事境界線)をめぐるツアーなどを実施している。僕はこのツアーを日本からインターネットで予約した。料金は70,00ウォン、日本円でおよそ7,000円ほどである。

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(ロッテホテル2Fのデジタルハーツオフィス)
→板門店に関する資料展示や書籍も売っている。


DMZには、無数の地雷が埋められているため、人間が全く立ち入ることができない。そのため、渡り鳥などの自然動物が集まる世界有数の場所となっている。
停戦の折、南北双方は侵入を防ぐ目的で、非武装地帯を何重にも鉄条網や高圧電線で囲い、幅4㎞の帯状のこの地域に無数の地雷をばら撒いた。以後この停戦ラインは軍事境界線として、2005年現在も南北の事実上の境界線となっている。

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(最初は通常の観光バスで出発するが・・)

ちなみに俗にこの停戦ラインのことを「38度線」という言い方で呼ぶが、これは正しくない。朝鮮戦争の停戦ラインとしての38度線はあくまでも「付近」ということであり、実際には西南西から東北東へ向かういびつな線となった。このツアーのガイドの説明によれば実際の停戦ラインは、斜めに朝鮮半島を横切っているので、北は39度付近まで。南は37度付近までとなっている。ちなみに「板門店」はソウルを北上すること約62km、北朝鮮の開城(ケソン)から10km、緯度で北緯37度、東経126度の位置に位置している。

カメラマンのKさんとはその日、互いに一人でツアーに参加してバスの中で隣通しになったことで初めて口をきくようになった。大きなリュックは、一目で機材を積んでいるとわかる装備である。

「前にも行かれた事があるんですか?」

と僕が声をかけると

「昨日も行きました」

という返事。

「?!!!昨日もですか?」

「ええ、多いときには1日に2回行きます。午前のツアーと午後のツアーに参加するんです。1週間連続で来た事もあります」

え?!一体どういうことなのかわからない。Kさんの顔を見つめなおした。


板門店レポート(2)----敵の行動によっては死亡する可能性があります

【参考記事】

戻ってきてからすぐにこの記事を書きたかったが、いろいろ突発的なことが重なり、なかなか書けなかった。遅ればせながら、できるだけ詳細に記録を残しておこうと思う。(最近の板門店の記録は、話題になる割には、書籍にもあまり正確に記載されていないということもある。)

下記は板門店ツアーの途中で撮影し、その場で携帯電話からブログに記事をアップしたものである。本記事は帰国してからまとめたものなので、内容は短いけれど緊張感は伝えているかもしれない。ほとんどの箇所は写真撮影不可なので、その場からはわずかな写真しかブログに送れなかった。

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