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January 10, 2006

ナベツネに何が起きているのか(1)----靖国で朝日と共闘宣言

ronza

論座の2月号で驚いたのは、次の2名の対談記事。

若宮啓文(朝日新聞 論説主幹)
渡辺恒雄(読売新聞 主筆)

タカ派論客と見られている読売新聞主筆・渡辺恒雄氏の発言が目立っている。首相の靖国神社参拝に強く反対し、A級戦犯に限らず関係者の戦争責任をはっきりすべきだと訴えるのだ。
憲法改正問題をはじめ、多くの問題で主張が真っ向から対立する読売と朝日だが、果たして「共闘」は可能なのか。両社の社論の責任者が徹底的に話し合った。

というのが記事冒頭のリード。
※ちなみに「論座」は朝日新聞社の発行ですから。言うまでもない人もいるであろうが。

ここで渡辺恒雄という人が、大学時代に共産党に入党して後に除名されているという事実も考えておくほうがいいだろう。戦時中に共産党に所属してその後方向性を180度変えた財界・言論人は多いが、渡辺氏もその1人として有名(だと思うんだが)である。
但しWikipediaによると、

1946年 天皇制への嫌悪から日本共産党に入党。
1947年 組織のために個人を犠牲することに疑問を抱いて本部を批判、日本共産党を除名される。ただし、日本共産党には除名したという記録は一切ない為、離党して“除名された”と自称していると思われる。

と記述されている。

読売新聞に入社後の歩みは一般的にはかなりよく知られていると思うが

東京大学を卒業後、読売新聞社に入社。週刊読売(現読売ウイークリー)記者を経て、政治部記者となる。警察官僚出身の社長正力松太郎の目にかなって、自民党有力政治家の大野伴睦の番記者になり保守政界と強い繋がりを持つようになった。児玉誉士夫と懇意になり、児玉の指令のもとに九頭竜ダム建設の補償問題や日韓国交正常化交渉の場でも暗躍したとされている。大野の死後は中曽根康弘と接近して、今日でもその親密ぶりはよく知られている。

1977年渡邉は編集局総務局長待遇に就任する。1977年2月18日付社説は百里基地訴訟一審判決の違憲立法審査権の存在意義を説いたが、1981年7月8日付紙面では一転して二審判決の統治行為論を支持し裁判所の政治介入を制限する主張にシフトした。渡邊の主張を取り入れ読売新聞が中道から保守・反共に傾いていった結果だとされている。しかし、このことが読売新聞発行部数1000万部へと押し上げ近年では、常に将来の国家像の提言を積極的に行うなど政治家、経済界、評論家、海外メディア、読者などあらゆる方面から支持されている。

1981年取締役論説委員長に就任した渡邉は、1984年からの元旦社説を自ら執筆した。その間、渡邉と意見を異にする論説委員の黒田清・山口正紀らが退社に追い込まれたという(渡邉恒雄氏におけるジャーナリズムの研究~前澤猛~から)。1987年元読売新聞社会部記者のジャーナリスト大谷昭宏は、渡邉が政治部の強権政治を強め社会部を迫害し始めたため読売新聞を退社した。
(以上Wikipediaより・太字はBigBang)

学生時代に、読売新聞のマスコミ塾のようなものを受講したことがあるけれど、講師は当時「取締役論説委員長」だったナベツネだった。講義の殆どが朝日新聞や共産党の「悪口」でこの人物の印象は極めて悪かった。その時だけではなく今に至るまで良かった試しはないが)ちなみに読売新聞は父が勤めていた会社でもあるので、僕は、会社のイメージを客観的に語れる心理状態には(おそらく今でも)ない。中曽根政権誕生時のナベツネの「暗躍」についても、父から耳にした誠しやかな話はいくつかあるが、それは書くことは控えておく。

で、ナベツネである。
対談記事について先を続ける。

渡辺
「僕は学生時代から本当に反戦を主張してきました。先の戦争で、何百万人もの人々が天皇の名の下で殺された。僕も徴兵され、二等兵でしたが奴隷的に酷使された。」


「戦時中の体験もあって、そういうことを命令した軍の首脳、それを見逃した政治家、そういう連中に対する憎しみがいまだに消えないですよ」


「以前、靖国神社が読売新聞に全面広告を出したいという話があって、僕はちょっと待ったをかけたんだ。ところが、うちは以前、靖国反対の意見広告も出していた。そうすると、新聞としては片方だけというわけにはいかないので、載せました。
しかし、社の主張ははっきりしている。だから、読売新聞は2005年8月13日の紙面から、靖国参拝問題の前に、戦争責任の所在を明らかにすべきだというキャンペーンを始めました。」

ここで注目すべきは、渡辺の主張は単に靖国神社への首相参拝反対に留まらず、「戦争責任の所在」を明らかにすべきであるという主張にまで及んでいるということだ。これには朝日の若宮もこのキャンペーンには「びっくりした」と応じている。


若宮
「偶然ですが朝日新聞も同じ日の新聞に、作家の半藤一利さんに戦争に至る過程を1ページつぶして書いていただき、掲載しました。そしたら読売新聞が「戦争責任を明らかにする」というシリーズを始めたので大変びっくりしました。」

渡辺によればこの読売新聞の戦争責任を明らかにする」キャンペーンは1年間続けるという。「2006年の8月15日をめどに」「軍、政府首脳らの責任の軽重度を記事にするつもり」だという。靖国参拝に関しては「中国や韓国が反対しているから」やめるというのではなく、殺した人間=A戦犯と被害者とを区別するべきだという論点を提示している。加害の責任の軽重をはっきり判断してから、歴史的にそれを検証して中韓に対して「彼らが納得するような我々の反省」が絶対に必要だという。若宮でなくても耳を疑うような発言である。

若宮
「天皇は四半世紀以上、靖国に参拝していない。晴れて追悼に行ける国立施設が必要だ」


に関しては個人的にはまさに賛同するところであり、今までもここでいくつかのエントリーで言及してきた通り。靖国という一宗教団体が、国家リスクの元凶になっていると僕は考え、国立施設の必要性を感じているのだが、渡辺はこれに対して「まったく同感である」としている。

南京大虐殺に至っては

若宮
「南京大虐殺の数字が、中国のほうではどんどん膨れていくわけです。今、30万人ですよね。南京虐殺は確かにあったが、30万人と言われるとちょっと首を傾げたくなる。」

に、渡辺は当時の兵器の性能から30万人は無理だろう、とした上で

「ただ、犠牲者が3千人であろうと3万人だろうと30万人であろうと、虐殺であることには違いがない。」と返し、若宮から「どっちが朝日新聞かわかりません(笑)」と返されている程である。

いったいナベツネに何が起きているのか。保守の強靭なバランス感覚による一種の言論クーデターではないかと僕は考えるのであるが、それは次編で。

対談の後半を検証する。(ナベツネに何が起きているのか(2)----老人の繰言か、言論クーデターかへ)

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Comments

田原総一郎創刊「オフレコ」でも似たような話を読みました。

>田原総一郎創刊「オフレコ」でも似たような話を読みました。

情報ありがとうございます。探して読んでみます。

BigBanさま
ごめんなさいね。乳児を抱えておりますので、なんだかぶっきらぼうなコメントになってしまいました。喧嘩を売ってるようなニュアンスになってしまって申し訳ありませんでした。おそらく田原総一郎、坂本衛らオフレコ編集に携わっている面々にとっては新しい話はないのではないか…と感じました。(このコメントへの返信は特に心配なさらないでくださいませ)

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