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July 03, 2006

残虐の北朝鮮政権に思う-----韓流スターと爆薬

金英男氏の会見は、予想されていたこととは言え、また深い失望を、横田めぐみさんの両親に強いるものであった。

このブログではかつて「平島筆子さんのこと----頭を上げよう。」で、こう書いた。

もちろん、この人の人生にどんなことがあったのか、真実はわからない。
だが少なくとも、脱北した後、中国から日本大使館に助けを求めたときの彼女の困窮は真実だったとしか思えない。日本人の多くが彼女に同情し、何とか助けてあげたいと思ったはずだ。自分もその1人だった。
何もできてはいない自分だけれど、それでも今回の彼女の「仕打ち」にはショックを受けたとしか言い様がない。どう考えても、彼女は「何らかの力」に負けて再び北へ戻った、あるいは戻らされたとしか思えず、その「何らかの力」が、平島さんと、平島さんの子供達などの安全を脅かす性質のものだったということは想像に難くない。

今、金英男氏の、明らかに北朝鮮に支配されたと思われる会見内容を聞くとき、平島さんのことが思い出される。人が自分の命であるとか、家族であるとか圧倒的な「担保」をとられた環境で心に背いた発言をさせることの無残さ、残酷さである。しかも、金氏の姉が、小さいころにめぐみさんの様子について「子供のころ、事故に遭って脳に深刻なけがをした記憶があると(本人が)語っていた」と明らかにしたことは、どれだけ深く横田夫妻の心を傷つけただろうと思う。親御さんとしての心情を思うと胸が詰まる。
言うまでもなく、めぐみさんが幼少時にもしもそのような怪我をしていたなら、当然両親が知っているはずである。調べれば簡単にわかる、明らかに虚言であるとわかるようなことを、なぜ言わせるのか。めぐみさんの自殺が事実であり、必然であったという誘導なのか、あるいは横田夫妻への人格攻撃なのか。めぐみさんの無事についても非常に憂慮される。

金氏の発言を聞いていると、脅されて言ってというよりも、まるでそうした「虚」を信じているかのように振舞っているようにも見える。ヘギョンさんの存在を考えれば、一定の時期にめぐみさんと何らかの関わりを持ったのは、全くの虚言ではないのだろうが、どこかで「幼い頃に頭に怪我をした日本の少女」という虚構の存在を、意識の底で信じ込まされているのか。会見の場に恫喝目的で北の工作員が同席しているとも言われているが、長い年月の間に、精神的にかけられた呪縛=洗脳の力が圧倒的なのだろうか。そもそも、めぐみさんの「拉致」についてのコメントは、金氏からは全くないが、どこまでを「知って」いるのか。あるいは「意識的に」、あるいは「強制されて」いるのだろうか。金氏自身が対韓国の工作に関わっていたという情報もあり、このあたりのレイヤーを見極めるのは難しい。

人間性の根本にまで立ち入って、こうした操作を行う北朝鮮という政権の非道、残虐は今更言うまでもないことであり、日本は今後も毅然とした態度をとるべきであろうが、金英男さんの件を見ても、この問題で韓国の理解を得、また歩調を合わせていくのは、大変に困難なことだということを改めて思わされた。

今日の韓国と北朝鮮を理解するにあたって、軍事的な問題は言うまでもなく必須であると思われるが、少し朝鮮戦争の経緯を振り返る。

1950年6月の朝鮮戦争当時、ソウルは開戦後たった3日間で北朝鮮軍に占領されている。軍事境界線からソウルまでは60Km足らず。日本で言えば、渋谷-熊谷間ほどの距離に匹敵する。金政権が時折口にする「ソウルを火の海に」は決して脅しだけの言葉ではない。

開戦直前の南北の軍事バランスは、北の有利であった。韓国軍は全土で8個師団6万5000人程度で、米韓軍事協定によって重装備が全く施されていなかったのに対し、朝鮮人民軍は陸軍が歩兵2個軍団10個師団と、第二次世界大戦時最強のソ連製T-34/85戦車150両を配した第105戦車旅団で合計兵力18万3000人、海軍は艦艇30隻と兵力1万4000人、空軍は120機のソ連製戦闘機と兵力2万人で、総計すると約22万人に及ぶ軍隊に成長していた。(Wikipedia 朝鮮戦争 から)

特に北朝鮮のソ連製T-34/85戦車は、韓国軍総崩れの主因となった。軍事境界線から突入した戦車軍を、重装備に劣る韓国軍は全く止めることができなかった。この経験は今でも尾を引いている。

現在もソウルから軍事境界線に至る道路には、奇妙な形をした広告塔が幾つも配置されている。板門店を訪れたとき、広告塔に、現代の韓流スターのポスターや映画の宣伝などが配されているのを目にしたが、実はこの広告塔には爆薬が仕掛けられており、北からの戦車が通過しようとすると爆破されることになっているという。テポドンなどの長距離ミサイルが配置されようという時代に、何とも場違いな気もするが、これも南側の朝鮮戦争のトラウマの一つであろう。

南北同一の民族であり、相互に多くの親族、いわゆる離散家族を持つ。一方で首都から手を伸ばせば届くところに世界最大の軍事密集地域を抱えている国。
聞けば、離散家族と、軍事的な捕虜、そして「拉致された」と思われる親族の再会やあるいは引渡しが、相互に、敢えて峻別されずに行われているのが日常であるという。

韓国とはそういう国家なのである。

日本という国家が抱えている「拉致問題」とは全く位相の異なる世界がそこにあることは、やはり理解しなければならないのであり、また同時に韓国を北朝鮮と日本との間に過酷に板ばさみにしようと思えば、韓国は、日本との協調よりもむしろ同胞としての北朝鮮との「統一」を最優先して動くであろうということも、やはり理解すべきであろう。
ここから先、残虐たる政権、北に対して一歩の甘い姿勢も見せるべきではないと思うが、韓国に対してはそうした事情も織り込みながら、外交的に粘り強く働きかけることにより、日本の立場への理解を繰り返し辛抱強く求めていくしかあるまい。

以前も書いたが朝鮮半島は日本のトラウマである。しかしトラウマではあるが「厳しさ」も「英知」も、その傷のために見えなくなってはならない。

全ては我らのアジアから、非道かつ残虐なる政権を、あらゆる手段を用いて消滅させるために。

何とか我らの世代のうちにそれが成し遂げられることを願う。

【加筆】
横田めぐみさんの遺骨に関して、大変に重要な指摘が「5号館のつぶやき」さんによってなされて、大きな反響を呼んでいるということを、この記事を書き終わった後で知った。別エントリーにするかどうかは読み込んでからと思い検討中だが、大変に重要な指摘だと思うので、ここで急遽リンクを紹介しておく。

政治に翻弄される科学者 (横田めぐみさん遺骨事件)
日曜だというのに津波アクセス

【加筆2】

簡単にではあるが、これについて、はてな支店のほうで触れた。

■重大な見落とし---横田めぐみさんの遺骨を巡って


【参考記事】
板門店へ行った(BigBang)

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Comments

離散家族の問題はありますが、政権がハンナラ党に移れば状況はがらっと変わるはずです。選挙が近くなればまた北が工作を仕掛けるでしょうが、普通に考えればウリ党に芽はありませんから。

 おつかれです。

>全ては我らのアジアから、非道かつ残虐なる政権を、あらゆる手段を用いて消滅させるために。

 「あらゆる手段」てのは、軍事オプションも想定されているのでしょうか。ちょっと気になったもので。

 ではでは。

>harmonikerさん

どもです。外部の主体=日本としての軍事オプションの行使はないでしょうが、防衛的見地からすれば、除外すわけにはいかないのは周知だと思うんですよね。それこそノドンやテポドンは現実ですから。

懸念は日本の行為より、むしろ問題が米国との間で一定のラインを超えることでしょうか。


平和裡での南北統合、結果としての北の消滅を最優先に望むことはもちろんですが。

エレニさん。

ハンナラ党といえば、朝鮮日報を見てたらこんな記事が出ていました。またまた古い記事だしご存知かもしれないが。

http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2005/05/26/20050526000024.html

--------------------------------------------

北放送「ハンナラ党が執権すれば韓半島に戦争」


 北朝鮮・平壌(ピョンヤン)放送は26日、ハンナラ党を“親米戦争勢力”と非難し、ハンナラ党が執権すれば、韓半島に戦争が勃発する可能性もあると主張した。

 平壌放送はハンナラ党が2007年の大統領選挙と2008年の総選挙に備え、未来の有権者である高校生と大学生の支持を得るための政策を展開しており、「韓国でハンナラ党のような反動保守勢力が再び国会を掌握し、それがファシズムの独裁政権の復活につながる場合、全民族に核の惨禍の犠牲になることは言うまでもない」とした。

 この放送はまた、「それはハンナラ党が希代な親米戦争勢力であるため」とし、「ハンナラ党は朝鮮半島で対朝鮮圧殺の野望を実現しようとする米国の戦争策動を、諸手をあげてたたえ、その実現の突撃隊になることを自ら率先している」と主張した。

 さらに、「韓国の各界各層の人民らはハンナラ党と親米保守勢力が二度と顔を上げることができないような強い打撃を加え、政界から葬ってしまうべき」とし、「同時に、反米闘争の火をさらに激しく燃やし、韓国に対する米国の支配と干渉の魔の手を永遠に切り離すべき」と伝えた。

朝鮮日報 (2005年5月26日)

bigbangさん、ご説明感謝です。

>問題が米国との間で一定のラインを超えること

 ああ、舞水端里とか寧辺なんかに対する外科的先制攻撃というイメージですか?こないだのペリー寄稿@WPとかもありましたからね。でも、どうなんでしょ。選択肢ではあって計画も立ててるだろうけど、なかなかやり辛いんじゃないすかねえ、現状では。テポ2も米国は公式評価では「失敗」と言ってるし。

 実は、先の質問をさせていただいたのは、大変に失礼なことで、おそらくはbigbangさんには思いもよらないことなんだと推測しますが、

>全ては我らのアジアから、非道かつ残虐なる政権を、あらゆる手段を用いて消滅させるために。

 この一文を拝読して、「ブッシュ(or his handlers)のものいいとそっくりだなあ」と表層的に思ったからなんです。自分も感情的なレベルでは共感しかねないんですけど、やっぱり「我ら」とか「アジア」とか「あらゆる」とか「消滅させる」あたりの表現が重なると、ちょっと待てよ、ということになるんですよ、ぼく的には。

 金王朝は終焉してほしい、とは思います。ただ、その実現に「あらゆる手段」を認めちゃうと、いろいろ気持ち悪いことになりそうだなあ、というところでしょうか。あと、アジアにはミャンマーとかもあるしなあ。印パの核保有もなあ。なんて思ったり。ヘタレと言えばヘタレ。

テポ2は失敗であったといい続けないと、それこそ次のステージに進まなければならない(しかしそれはしたくない)ジレンマが米軍にあるという論もありますね。
確かに私の論は、軍事行使をを例外視はしていません。もちろん最後の手段なのですが、ありもしない大量殺戮兵器の存在で侵攻したイラクの例をとれば、北朝鮮への先制攻撃は、正当性を勝ち得ています。何しろ大量殺戮兵器は夕べ7発も発射されて存在が明らかになっていますから。幸いにも「失敗」しましたが。

問題は、朝鮮半島とその周辺(日本も)、そして北朝鮮に密集する人口と軍事力の量が、イラクの比ではないことですね。下手を打つと大変なことになる。

軍事力は、その存在を交渉のオプションとしては持ちつつ、実際には行使しないというのがある意味理想だと思うのですが、その意味では日本はオプションをもっていません。現状の基盤の上に考えるなら「卓越した外交能力」に頼るしかないことになりますが・・どうでしょうか。。。

bigbangさん、どうもです。

>北朝鮮への先制攻撃は、正当性を勝ち得ています。

 うーん。「正当性」ですか。中国は、金君には相当むかついてるんでしょうが、事後的にでも説得できます?ロシアもなあ。あとで安保理に報告して、支持されるんかなあ。

 「悪の枢軸」の行為だから、批判の閾値は相当低いんでしょうけど、ミサイル発射してる国って、アメリカを含め、結構あるしなあ。数は確かに多いわけですけど、着弾点は、まあよくわからないけど、姑息に計算してる風ではあるし。日本からも何百キロか離れてるんでしょ?

 あと、ミサイルはWMD運搬手段ではあっても、WMDとは認定されなさそうな気が。

 でも、bigbangさんみたいなひとがそういうことを言うってことは、日本はそういう空気なのかしらん。

 今回の北朝鮮の行為は極めてけしからんと思うけど、先制攻撃して、何が達成できるのかな。日本は「安全」になるんですかね。ならいいけど。もろもろのコストは?

 ぼくは「現場」から1万キロくらい離れた場所にいるんで、ピントがずれてるかもしれませんが、脅威と対抗手段の間のproportionalityは見失っちゃいかんのかなあ、という気はします。「フォッグ・オブ・ウォー」でマクナマラが東京大空襲(および他の日本主要都市空襲@WWII)を批判して言ってるやつ。まるめると、牛刀をもって鶏を裂くの類はいかがなものか、という話で。

 北朝鮮(つうかジョンイル君とか軍部)の煽りにリニアに対応しすぎてドンドン行くと、bigbangさんもおっしゃるように、究極的にはひとが沢山死ぬことになりそうで、それは非常に嫌だな、と。お国のために国民を沢山死なせると、国の行動にはすごい縛りがかかると思いますし。

 まあ、とりあえず、日本海や日本国内では脇を固めつつ、安保理非難決議と、六者協議再開を押す、くらいなんすかね。政府が今やってるみたいに。

>(先制攻撃は)正当性を勝ち得ています。

というのは「米国的には」という意味であって、僕が

「先制攻撃は正当性を勝ち得ている」と思っているわけではありませんので誤解しないでくださいね。

>ミサイル発射してる国って、アメリカを含め、結構あるしなあ。

そもそもミサイル試射の歴史ってどうなっているんだろうかと思いましたが、ちょっと調べ切れませんでした。キューバ危機など今思えば「撃っていない」のに大騒ぎでしたけれどもね。

> 今回の北朝鮮の行為は極めてけしからんと思うけど、先制攻撃して、何が達成できるのかな。日本は「安全」になるんですかね。ならいいけど。もろもろのコストは?

コストどころじゃないですよ。w
先制攻撃などされたら、いくら日本でも大騒ぎでしょう。

> ぼくは「現場」から1万キロくらい離れた場所にいるんで、ピントがずれてるかもしれませんが、脅威と対抗手段の間のproportionalityは見失っちゃいかんのかなあ、という気はします。「フォッグ・オブ・ウォー」でマクナマラが東京大空襲(および他の日本主要都市空襲@WWII)を批判して言ってるやつ。まるめると、牛刀をもって鶏を裂くの類はいかがなものか、という話で。

1万キロですか?いいなあ。僕も当分朝鮮半島に渡るのは自粛します。で、その他はおっしゃるとおり。あと、このサイトの「「非人道的」とはどういうことなのか」あたりを読んでいただけると幸い。


>安保理非難決議と、六者協議再開を押す、くらいなんすかね。政府が今やってるみたいに。


安保理決議もいいけれど(無理みたいですが)、これをいったん決議するとその後の歯止めが効かなくなるんですね。そこまで読んだ上での露中のぐずりなら、わからないでもない。

 ああ、うっとおしくてすみません(^^;。再度のご説明、ありがとうございます。

 「米国的」に「正当性を勝ち得ている」とのご説には、承服しかねます。やられるより先にやれってのは、確かに911後の米国の通奏低音ですが、さすがに今回のミサイル発射でもう叩いてもオッケー、という主張はよっぽどアレな人じゃないといってませんよ。だいたい、ブッシュ君が相当慎重なものいいをしてますし。

 弾道ミサイル試射ですが、最近だけでも:
ttp://www.hindu.com/thehindu/holnus/003200606301924.htm(ロシア、6月30日)
ttp://oheraldo.in/node/15059(インド、6月11日)
ttp://www.foxnews.com/story/0,2933,189887,00.html(イラン、3月)
などが報じられています。アメリカは、まあ、防衛システムの標的だけど、いろいろと。
ttp://www.mda.mil/mdalink/html/mdalink.html

 キューバ危機は、撃ったら米ソ核戦争になってたからではないですか。米国の「裏庭」での話だし。テポドン2に搭載可能な核兵器を北が持ってるのか、専門家の間でも意見は分かれているようで。BCとか放射能爆弾搭載でも十分脅威だとは思いますが、キューバ危機と同等と受け止めているという米政権幹部の発言はないんじゃないかしら。

>先制攻撃して、何が達成できるのかな

 すいません、ここんとこは米ないし日本の、というつもりでした。分かりにくいですね。

 まあ、1万キロ離れているといっても、別に好きでこの場にいるわけじゃありませんし、家族は日本にいますから、それなりに心配ですよ。「非人道的とはどういうことか」には、かつてコメントさせていただいたんだけどなあ(^^;。印象薄かったか。

 中国は、ぐずりっつうか、日本の「制裁決議案」を潰す構えみたいに見えますね。独自に議長声明案をまとめたみたいだし。

>「非人道的とはどういうことか」には、かつてコメントさせていただいたんだけどなあ(^^;。印象薄かったか。

あ、ごめんなさい。うっかりしていました。

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