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November 05, 2006

父親たちの星条旗(「Flag of Our Fathers」)と隣のサンドウィッチ

Io


連休中だったが、館内は半分くらいの入り。

クリント・イーストウッドが監督した『父親たちの星条旗』+『硫黄島からの手紙』の二部作として公開される予定の映画の第一弾。米国の視点から見た硫黄島攻防戦を描く。第二次世界大戦でも屈指の激戦地とされた硫黄島の戦いは、戦死者計約26,000人(日20,000人:米6,000人)を出したとされる。圧倒的な兵力の差から、当初3日程度で終わると見られていた戦いは36日間に及んだという。

この硫黄島の戦いで撮られた、「擂鉢山に米国旗を掲げる兵士」の写真は、米国の戦勝ムードを盛り上げるための格好のプロパガンダとされたが、映画では英雄とされた6人の兵士のそれぞれの運命を描いている。あまりにも有名な写真の裏に隠された真実が、この映画のテーマである。

戦争における建前と現実の間のすさまじいギャップを、兵士たちの視線から描いている作品として秀逸な出来だと思うが、意外に思ったのは、当時の米国の戦争資金逼迫の深刻度である。「英雄」とされた兵士たちは、「戦時国債」のためのいわばプロモーションとして、米国各地を見世物のように引き回されるのである。戦争末期、日本が既に各家庭から強制徴用した貴金属などを戦時資金に当てるほど武器弾薬不足に逼迫していたことは知られているが、米国の切迫度について、リアルに描かれている映画は珍しいように思った。

プロモーションのパンダ役に疑問を呈する兵士に政治家が言う「行くなら石を持っていけ。持たせる弾丸はない」という一言は印象的。

「英雄」としての扱いは実に馬鹿ばかしさと欺瞞に満ちたものであり、兵士たちが、地獄の戦場での記憶に苛まれながら、次第に心の均衡を失っていく様子が淡々と描かれている。このあたりちょっと時間軸が行ったり来たりでわかりにくいところもあったが、紛れもなく「敗者」としての我らの立場から、「勝者」であったはずの米国のナーバスな痛点を見せられる奇異な感覚。

を味わいながらも、隣に座った国際カップル(男おそらく米国人:女おそらく日本人)の食べ散らすサンドイッチの音と匂いが、映画前半でやけに気になったのは、このストーリーのナイーブな部分が知らずに自分にも影響していたせいかもしれない。

硫黄島での圧倒的な兵力差は、地平線まで広がる米国の大艦隊と、我らが兵士の地に潜り、血にまみれて36日間の苦闘をなした、そのあまりにものすさまじい姿の対比で否応にも思い知らされる。

それにしてもよくぞ双方から描く手法を選んだ・・というよりも、第二部「硫黄島からの手紙」で日本側からの視点を再体験しないことには、何とも精神的におさまりのつかない映画であるし、この1作だけでは日本市場での公開は微妙であっただろう。

加えて、実際にはアイスランドで撮影されたという「硫黄島」の夢の中のような不思議と現実感のない荒々しい岩肌の輪郭が心に残り、今度は防御の側から描かれる次回作「硫黄島からの手紙」も観にいこうと思った。

つまり製作者側の思惑にまんまと乗せられているようなのだが。

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Comments

【プロモーションのパンダ役に疑問を呈する兵士に政治家が言う「行くなら石を持っていけ。持たせる弾丸はない」という一言は印象的。】

戰勝國(米軍)側の機密は中々公開されないですね。
米軍の正確な戰死者(or戰歿者)の人數は現在も機密かと思ひます。

第二次大戰中、フランスがドイツに降伏した時…
ドイツ側には貨車8輛分の重砲彈しか殘つてゐなかつた事は軍需大臣=アルベルト・シュペア(戰犯、禁錮20年)の囘顧録で分かります。

が、最終的に勝つた米軍側の状況は「GHQ」の對日(洗腦)情報工作の必要からか、ホントのところが中々分からない(笑

それから日露戰爭では、日本側は兵力+彈藥が底を突いてゐたといふのは(一面の)眞實です。
がしかし、ロシア側も砲彈の備蓄が底を突いてゐたらしい。

確か…、數年前に長谷川慶太郎が(さういふ資料がある事を)通俗本に書いてゐました。

お邪魔します。
映画は未見です。今年の夏、NHKスペシャル枠で「硫黄島」の生存兵士の証言を主とした番組をやっていましたね。島全体をすごく要塞化して徹底抗戦した。日本軍は本土進攻を遅らせるために見捨てるつもりだから補給もしない。降伏しようとすると味方に撃たれるから日本兵は飢えと渇きで食料の奪い合い。
米軍は地下壕に水と油を注入して火をつけたり、なんか虫の駆除みたいな方法で掃討作戦。人道もへったくれもない国だとアメリカを再認識しました。あれなら原爆も焼夷弾もイラクで民間人攻撃も普通にできるでしょう。まあ、どの国が残酷なんて語り方は意味ないけど。

アメリカの戦史に残る犠牲者を出したらしくって、勇猛果敢なわが精兵の誉れと言うか、戦陣訓を奉じたカルト国家の戦争と言うか。

話が変わって、日露戦争といえば、日本側の機関銃の方がロシア軍より多かった。「貧弱な装備を補う将兵の精神力」というのは戦争後に作られた神話だと聞きました。山田朗さん(明治大学)の講演だったかな。
実際にあったトロイ戦争が「イリアス」を生んだなら、先の戦争も物語化されていくのはしょうがないことかも。
稗史憶説、講談本を真に受ける阿呆が絶えないことは問題かもしれませんけど。

>>をろちさん

あの・・旧かなが怖いんですが。以前にちょっといやな思い出が(爆)。それはともかく。

>戰勝國(米軍)側の機密は中々公開されないですね。米軍の正確な戰死者(or戰歿者)の人數は現在も機密かと思ひます。

硫黄島にしても沖縄戦にしても、東京大空襲にしても、大きな死傷者のぶれがあります。米軍の情報操作は徹底していますからね。それはこの映画でも感じたところ。


>>kuroneko さん

映画でも隠れて出てこない日本兵を火炎放射で丸焼きにする場面が出てきます。沖縄戦ではガマに立てこもった兵士に対して同じことがされました。目を覆う場面ですね。
NHKスペシャルは見落としましたが、次作(第二部)で「焼かれた側」を見ようと思います。


火曜日の昼間に私も観てきました。

クリントイーストウッドで硫黄島ですからね。
これは必見と前売り券を購入してました。

「入り」はやはり半分ほどでしたけどスカスカという感じじゃなく、結構この作品が注目されてる感じでした。
年齢層が5割爺さん・3割婆さん・その他2割って感じ。

尺とテーマの扱い、私の思い入れから言わせて貰うと、これだけだとテレビ映画級かな?って感じで物足りなかったです。

主役は三人の兵士なんですが、やはり一人はインデアンであるというのがミソですよね。

グロシーンは概ねリアルに再現されて満足ですが、戦闘シーンは、まぁ日本側が主に穴蔵に籠もって行われるので、バンドオブブラザーズやプライベートライアンのようなビジュアルにはなりませんでした。

第2部を観てからでなければもう少し広い意味の意図が分かり難いような気がしてます。
中村獅童の大尉がどれだけがんばってくれてるか今から楽しみです。

お久しぶりです。トリルさん。そうですかごらんになりましたか。私は六本木でみたせいか、年代層はそう高くありませんでしたよ。隣の劇場ではワールドトレードセンターをやっていて、こっちも若いカップルが一杯いた。場所柄ですかね。

確かに、いまひとつ食い足りないというか、とにかく時系列のまとめ方が・・脚本がいまひとつでしたね。アメリカインディアンの話は、確かにいかにもアメリカ的。

史実ですから、プロパガンダ的にも彼が入っていてよかったんでしょうがね。

>kuroneko さま

>山田朗さん(明治大学)の講演だったかな。
山田朗クンの言うことを真に受けてどうしますか。軍事オタクというか軍事に詳しい方からは、彼のでたらめさが散々指摘されています。
ご指摘の件に関しては分かりません。日露戦争後、陸軍の軍事思想、戦略や戦術がおかしくなっていったことはそのとおりです。ただ山田クンは日露戦争の全局を見ていないような印象を持ちますね。結論保留。
それから「戦陣訓」。原文を全文ちゃんと読んでから批判してください。私は最近ネットで全文を読みました。東條英機氏を貶めるためのGHQと戦後左翼歴史学のでっち上げです。戦陣訓は武士道を踏まえた真っ当な心得だと思います。何も「カルト」じゃありません。

いろいろ失礼なことを。『硫黄島からの手紙』の公開を俟ちましょう。

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