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May 28, 2007

第13回WebSig会議 「Second Lifeのポテンシャルを探る 企業から個人まで」---レポート

070526_152001

SLネタが続いているが、昨日秋葉原のデジタルハリウッドで開催された「第13回WebSig会議 「Second Lifeのポテンシャルを探る 企業から個人まで」に参加してきた。その模様をちょっとレポート。

会場は、リアル会場のほか、SL内のイベン島、雷神、Minatomiraiの計4ケ所を使って行われた。リアル会場では、SL内会場の模様がモニタに映し出され、さらにリアル会場からスタッフが、「スタッフアバター」となって、各SL会場に散った。

リアル会場に出かける前に、イベン島を覗いてみた。

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まだ、観客は集まっていなかったが、本番時には各バーチャル会場は、様々な体裁のアバター観客で一杯になった。リアル会場も定員の100名をおそらく上回ったであろう人の入り。熱気がすごい。通路にまで椅子が並べられ、トイレに行くのも苦労したほどである。

まず三淵啓自氏(デジタルハリウッド大学大学院教授)。SLは右脳思考であり、それまでのセマンテックWeb(いわゆるWeb)の左脳思考とは根本 的に違う。究極のWeb2.0である。クリエイターにとって未曾有の3D制作環境として画期的であり、かつてない良質の環境が整備されていること、著作権 がすべてクリエイターに属しているほか、制作されたデータはすべて3Dネィティブのデータとして世界中に配布できること、リンデンラボがオープンソースで SLクライアントを含め開放したことが、世界に与える効果について講演した。

次は、先行して企業に対するSL内でのプロモーションコンサルに参入した、株式会社メルティングドッツの岡績氏。氏は、具体的事例で企業が実際に取り組んでいるSL内のマーケティング戦略について解説。

最後は、SL内のカリスマの1人。ASUKAグループオーナーのLINZOO Ring氏。氏はtokyo AGEHA Japanese Girls Collectionの主宰で、この上なく美しい日本人シェイプの制作者としても知られている。個人の立場からのプレゼンテーション。SL草創期の苦労や、住民の気質について語られる。

それぞれのSL内会場には、リアル会場の音声と映像がストリーミングされたが、かなり遅れて配信されていた。まさに実験的試みであると主催者の方が言われていたように、演出としてはリアル会場の質問に、SL会場のアバター達が赤白の旗を上げて回答するなどの、非常にシンプル、ある種稚拙なものであったが、(その上、リアル会場のマイクの調子は最悪だった!)私が遠く感慨を持って思い出していたのは、初期のテレビ会議システムが初めてイベントに持ち込まれた頃の記憶である。あのときも、音声はブツブツであったが、遠く海外の人々との質疑応答が、テレビ局の力を借りずに実現した瞬間として、感動を持って受け止めたものだった。
時は移り、今モニターの向こうにいるのは、バーチャル世界のメタバースに集った、形態も様々なアバター達である。時代の変化を思い知らされた。実際、各SL会場はアバター参加者で一杯になっていた。

SLに関しては、もちろん3名の講師はポジティブなのだが、ネトゲとの違いについて、より参加者が自分の時間を主体的に使うことができると説いた三淵氏、そして企業参入がいよいよ見え始めた時代にあって、先行して入った個人を「傷つけないで」もらいたいと説いたLINZOO氏のプレゼンが印象的だった。

実際、各SIMではクリエイターの奪い合いのようなことも始まっているという。先行して参入した企業がかなりアグレッシブな動きをメタバースで繰り広げているらしい。事実、驚いたのだが、この日のリアル会場参加者の9割が企業関係者だった。

LINZOO氏は、「ネットにいる人たちは、なぜだかわからないが企業によって傷つけられている。その傷を理解してほしい」と語った。

その「先天的なトラウマ」は、あるいは自分が実際に受けたものではなく、ネットの先駆者から受け継いだものかもしれない。実際、今のSL内の日本人コミュニティは、LINZOO氏の感覚では、せいぜいアクティブな200名程度が担っているという。(実際、友人の友人あたりで、概ねSL人間関係はつながるというのは、私の実感でもある)住民はまだ新参者に対して親切であり、無償のオブジェクトも気前よく分ち合う。いわばパソコン通信やインターネットの初期の牧歌的な雰囲気が、まだSLにはあるのだ。それが企業の「暴力的な」参入によって破壊されることを、LINZOO氏は恐れている。

驚くべきは、おそらくリアル、SL両会場のほとんどすべての参加者が、SL内に企業が近く本格的侵攻を始めることを確信していると見えることだった。SLの盛り上がりを心配する者はおそらく殆ど皆無であり、むしろ加熱の行きすぎを心配している。

それはセッション終了後の、懇親会でも感じられた。幾人かの大企業の担当者と名刺交換したが、彼らの大半は、SLへの企業参入ピークをおよそ1-2年後と感じている。要は時期の問題だけであり、法的規制の問題やRMT(リアルマネートレーディング)における問題点の将来をそれほど悲観視していないこことが感じられた。

実際、野村総研は「複数世界が並存する「マルチバース」時代へ--2012年までの3D仮想世界をNRIが予測 」でみられるように

2009年から2010年にかけては、三次元仮想世界を活用したビジネスが本格化する見込み。グラフィックス性能が向上したPCが普及し、消費者による三次元仮想世界の利用が進むからだ。具体的には、電子商取引の基盤構築とマーケティング手法が確立が期待されるという。またNRIは、仮想世界に対する法整備の検討が必要になる時期でもあると予測している。

と予測している。「複数の世界の併存」とは。一人SLが孤立する世界ではないことを示唆しているのだが、風穴をあけるのがSLであることはおそらく間違いないだろう。

リアルで、SL内のクリエイターの方々と話をすることができたことも収穫だったが、私にとってラッキーだったのは、

社内にはビリヤード場、「週に1度はセカンドライフ」が社則

の記事を書いた遠竹智寿子さんと会場でお会いできたことだろう。そして「あの記事にあのタイトルはないでしょう。むしろリンデンの構想がたった一つのSF小説、『スノウ・クラッシュ』(ニール・スティーヴンスン著)に凝縮されていることを聞き出した彼女の記事には、もっとふさわしいタイトルがあったはず」という、私の戯言に共感していただいたこと。

#あの見出しは、編集部で勝手につけたんですって。何だよ、ビリヤード台って。そんなのきっとグーグルにも、MSにもあるだろさ。などと、遠竹さんに紹介された、アスキー関係者に絡む。

それはともかく。

「Second Life」をめぐる昨年から今年にかけての状況は、インターネットが日本に上陸した草創期、一気にブレークしていく前夜、1994年頃の状況に極めて類似していると思っている。
あの頃、日本のインターネットコミュニティはまだ小さく、皆がまだ情報に飢えていた。どこに行っても同じような会社と似たような人々が、極めてアグレッシブに未来を模索していたのである。

それから約10数余年。いま見ているような世界になってしまったわけだが、その間にNCSAモザイクであったり(!)、ネットスケープであったり、IEだったりのブラウザの変移があった。SLのクライアントが、次期ブラウザの地位をそのまま占めるかどうかはわからないが、これほどの3Dシステムが、オープンソースで、しかもRMTを保証して数百万人のユーザーを獲得したことは極めて意味が大きい。

よく、mixiの会員が既に800万人とか、あるいはネトゲのハンゲームのユーザー数がどうとか、あるいはクライアントソフトの使用感の悪さ、日本人のアクティブユーザーがまだほとんどいないこと、あるいは日本語版の「遅れ」などから、この世界の先行きを危惧する声もあるのだが、考えてみればインターネットの草創期にも同じような危惧は繰り返し語られたのである。

日本語版については、三淵教授はいったんリセットされたという見方だったが、先の遠竹さんにも会ったリンデン広報担当は、未だ遅くとも今年いっぱいにはリリースするという表明を捨てていない。外資系企業に日本総代理店をいったんはまかせようとしたが、見送ったとの説もあり、また彼らの言う「日本語版」の解釈について、当日様々な方たちにお話を伺ったが、十人十色であったところが興味深かった。このあたりはいろいろ深そうだ。

いずれにしてもこのエントリーは3年後にもう一度読み返してみたいところである。そう思える自分のエントリーは、実はほとんどないのであるし。

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Comments

「この日のリアル会場参加者の9割が企業関係者だった」というのが現実でしょうね。あとはみんな醒めているんじゃないでしょうか。

セカンドライフに、インターネットバーチャルモールが登場した10年前を見ています。

3年後に、セカンドライフとグーグルアースは同じパイを争うことになり、よりリアルであるグーグルにセカンドライフが勝てるはずはないと感じています。

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