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January 04, 2009

【新年のご挨拶---イカルスになる前に】

新年おめでとうございます。

長らくブログを放置していますけれど、生きています。(笑)
新年のご挨拶くらいはしなければいけないと思うのですが、取り急ぎ今年の冒険的年賀状の公開をもって、新年のご挨拶に代えさせていただければと思います。

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【新年のご挨拶---イカルスになる前に】

子供の頃、SF映画やアニメを見ると、ほとんどの車は空を飛んでいました。天の彼方までそびえる、超高層のビルとビルの間には幾筋もの「空中フリーウェ イ」が幾重にも重なり、その中を超高速で飛び交う未来の車、車。鉄腕アトムでも車は空を飛んでいましたし、(但し電話は黒電話のまま笑)映画「ブレードラ ンナー」でも飛んでいました。
かなうか、かなわないかわからない多くの未来の夢。その夢の中でもそれほど突飛でも、実現不可能とも思えない夢が、「空を飛ぶ車」だったように思います。

果たして2009年を迎えた今、言うまでなく車はまだ空を飛んでいません。交通渋滞の解消のための強力なウルトラ施策の一つが、「空飛ぶ車」のはずだった ようにも思えるのですが、それを阻んでいる理由は様々でしょう。安全性の問題、法規の問題、ガソリンに代わる未来の代替エネルギーの問題、飛行全般に関わ る技術の問題、そもそもそうしたニーズが現実的であるかという問題。
飛ばなかった車のことをいくら論じても仕方がありませんが、問題は車が空を飛ばなかったかどうかではなく、今、自動車業界あるいは車そのものが空前の危機に瀕しているということでしょう。

思えば、いつの日からか、車は憧れの存在ではなくなりました。若者は車を欲しがらず、ゲームや携帯電話、プロフなどでの他人とのサイバーなつながりを求 め、通信費などのコストを優先するようになりました。自動車業界だけではなく、広告業界にとっても最大のイベントであったモーターショーは、近年では急速 に注目を浴びなくなりました。

車が空を飛ぶかどうかなどという夢よりも、ガソリンという有限の化石燃料から、いかにしてクリーンな次世代エネルギーに移行するか、省エネ、環境問題とい かに向き合っていくかという、現実的な課題が優先して語られるようにもなりました。新車のデザインが急速に近年「保守化」してきていると思われるのも、こ うした市場意識の変化とは無関係ではないでしょう。
思えば随分前から、皆が気がついていたのではなかったでしょうか。車は最近何かがおかしい。何かが、ちぐはぐになっている。それでも、産業におけるポジション自体、その圧倒的に巨大な地位にまで危惧の念が持たれるところまではいきませんでした。

しかし今、車をめぐる夢自体が終わりつつあります。昨年末に向けて、アメリカのビッグ3がここまで追い込まれることになるとは、1年前に誰が想像したでしょうか。
「空を飛ぶ車」の夢が果されるどころか、より現実的で切実な問題が問われ、世界的な大企業の存続の可否が問われるところまで来ています。車は空を飛ぶどころか失速し、マーケットという仮想の空で、地面に叩きつけられる寸前に来ているように思えます。

もちろん私たちにとって今も尚、車がない社会は想像できません。車がなくなることはあり得ないでしょうが、10年、20年後の世界を走っている車や、それ を支える自動車産業の姿は、私たちが今まで想像していたものとは、まったく違う様相を見せることになるでしょう。「人と車の関係」を考えていくというの は、今まで自動車会社がPRのために使う言葉上のキャッチフレーズでしかなかったように思うのですが、ここからは、本当に全力で「人と車の関係」を考え、 それを変化させていくことが必要になってくるのだと思います。

ギリシア神話に登場するイカルスは、鳥の羽を蝋で固めて翼を作り、それで空を飛びましたが、調子に乗って太陽に近づきすぎ、蝋が溶けて翼が分解したため墜 落死しました。米国議会の猛反発を受けたCEO達の自家用ジェット機も、かつてはイカルスのように大空を舞っていましたが、既にその翼の蝋は溶け始めてい たのかもしれません。もしもイカルスと何か違う点があるとすれば、その翼には、何十万人、何百万人という人々の命や夢が委ねられていることでしょう。墜落 すれば全てが無に帰します。

いつの時代も、私たちは「モノを売る」ことに、単に金銭を生み出すこと以上の情熱を傾け、「モノを買う」ことに対して、物欲を満たす以上の思い入れや夢を 描いてきました。多くのモノが売れるほど、それを生み出す人たちの暮らしは豊かになり、多くのモノを買えば買うほど、それを所有する人たちの生活は、そし て人生はより豊かで実りの大きなものになるはずでした。この単純な仕組みを支えていた大きな枠組みが揺らいでいると思われる今、私達は、ここからは、新し い夢の姿を探さなければならないのではないかと、ぼんやりと考えています。その姿は、まだ霧の中にあり、この両手でしっかりと掴むことは愚か、どんな形を しているのか想像することすら今はできないのですが。

まずこの年。

車は空を飛びませんでしたが、私たちは、超えなければならないハードルを多く飛び越えていかなければならない年になりそうです。私たち全てがイカルスになる前に。

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昨年は大変お世話になりました。
本年もよろしくお願いいたします。

どうか今年は、私たちの差し出す無数の手が、それを求めるさらに無数の人々の手に届き、しっかりと繋がりますように。

(いつもながら新年より長文のメールで失礼いたしました。ご容赦ください。)

IT's Big Bang! -- ITビジネスの宇宙的観察誌(CNETJapan)
http://japan.cnet.com/blog/it_bigbang/
※本文は上記に掲載した記事を改編加筆いたしました。

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