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September 08, 2016

黒いハイネックとヒゲのキャラクター -Appleが輝いていた頃

息を飲んでその時を待つ。02:00という時間も気にならない。どんな手段でその時を共有すればいいだろう。刻々更新されていくサイトの写真にも興奮を覚える。何が発表されるか予想もつかない。この人の一挙手一投足に世界の目が集まる。今夜のその時間までと、今夜のその時間からは世界が変わるのだ。プレゼンの段取りが狂うような、機材のトラブルすら心躍る。どんな鮮やかな切り抜け方をするだろうか。

黒いハイネックのセーターは同じものを何十着も持っていたそうだ。人としてどうかと言われればおそらくクズだ。親としてどうかと考えれば、これもおそらくクズだ。だが才能としてどうかと言われれば間違いなく天才だ。天才という言葉すら卑小すぎた。

その人ですら挫折を味わい、駆逐され破産の危機に見舞われ、もう二度と帰って来れないかという表舞台に、これ以上ない舞台仕立てで帰ってきた。片手をあげれば世界がどよめく。そんな経営者は2度と出ないかもしれない。

Appleが最も輝いていた時代の話だ。

今。彼はそこにいない。その代わりに、日本企業から生まれたヒゲのキャラクターがAppleの製品の中で踊ることが高らかに宣言されている。来場者は拍手を送る。だがその拍手がかつてはレインボーだったとすれば、今は数色の色程度の話だ。誰だってわかっている。

彼が残したスマホは少しだけスリムに、少しだけ速く、少しだけ洗練されて、少しだけ電池が持つようになり、少しだけメジャーなコンテンツが乗るようになった。

失われたのはあの熱気。何回となく繰り返されたあの熱気だ。ここから先、その熱気を知らない子供たちが、Appleの製品を買うかもしれない。だがそのAppleは自分の知っているのとは別の会社だ。

忘れるべきものは忘れるべきであり、忘れるべきでないものは忘れるべきではない。繰り返しが繰り返しとして続いていくことは知っている。知ってはいる上で今朝の僕の感想の一部である。



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