小田和正という存在-月曜組曲での驚異7
小田和正という存在-月曜組曲での驚異
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小田和正という存在-月曜組曲での驚異6
年内で終わるという「月曜組曲」を見続けてきた。
僕がこの番組に惹かれたのは、決してオフコースや小田和正の
ファンだったからではない。
むしろ好ましく思っていなかったことは予想外の連作になってしまった
この記事の初回に書いた。
僕がこの番組に惹かれたのはおそらく、人が率直に自分とその歩みを
語る時に溢れ出る不思議な魅力を、この番組そして小田和正から感じたからだ。
正面から、自分の人生や辿ってきたことを語るのは勇気がいるし、恥ずかしい。
この「恥ずかしさ」をもう少し掘り下げて考えてみれば、人は記憶の中で
自分を美化し、正当化し、甘い自己愛に陥りがちだからだ。
そしてそれを一番知っているのは自分なのである。
語るそばから、思い出は嘘になり、虚構の影を強くする。
物語は語り手を置き去りにして、賢知り顔に歩き出すことが多い。
その疎外感。後悔。
テレビ番組を拒絶するミュージシャンというのは、オフコースだけではなく
あの頃の定番だったけれど、それも過ぎた時間の中での話。
今は、そうしたメディアに出る出ないが意味を持つのではなく、そこで
何を語れるのかが、あらためて意味を持つ時代になっていることを
感じる。
そして言うまでもなく、その「語る意味」は、そう短い時間の中で
見つけられるものではない。
ある程度の時間が必要なのである。
そしてあの「恥ずかしさ」を十分に知った上で、語り始める時。
その言葉に意味がある。
敢えて言えば、メディアで表現をするということにおいて、青臭い青春の
時代は終わったのであり、そうした奇貨を手にできた者の義務として、
そこで語るべき言葉の重みを知り、自分が伝えなければならない言葉に
むしろ注力すべきだろう。
時代は実際、猶予がなくなってきている。
今日伝えられることが、明日もあさっても伝えられるとは限らない。
こんな今だから、そうした思いを危惧として強く抱く。
オフコースという、希代のバンドを通して、この数十年の時代を
音楽という媒介を通して語ってくれる語り手として、小田和正はまさに
そこにいるべき人なのである。
だからあなたは今夜もそこで聴いている。
初回で書いたような反感を持っていた当時の自分に立ち返れば、
その詞に耳を傾けず、あるいは傾けてはいてもその言葉が耳に
入ってこなかった。
ただあの高い美しすぎる声に反発し、横を向いていた。
せいいっぱいの背伸びを(この後に及んで!)するならば。
するならば、である。
自分も、そして小田和正も(!)ともにそれなりに、未熟だったのだろう。
そしてもしかしたら、僕の生きているこの社会も。
もちろん、成熟の途上にある社会の中で、幼少期も青年期も
ないのかもしれない。幻想かもしれない。
でも、そんな夢想を僕は今リアルに感じている。
生きている環境と自分の成長の物語だ。
音楽は、生まれた時代の中で、その枠組を、そしてその宿命を一歩も
出られない場合もある。
だが、その枠組を超えて意味を発揮するときもある。
それがその音楽がどれだけ優れているとか、そういった証明に
なると考えるのは単純に過ぎようが、確かにそういうことはあるのだ。
今夜かかった「君住む街へ」の歌詞は、僕と同じ時代に生きている
あなたにはどう聴こえただろうか?
その聴こえ方が。
この時代でのこの歌の聞こえ方が、そのまま
その答ではないだろうか?
実際、オフコースというバンドの始まりと終わりの物語には、
幾通りもの、そうした金糸が編みこまれているのである。
それがようやくわかった。20年かかったけれど。
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「君住む街へ」
そんなに自分を責めないで
過去はいつでも鮮やかなもの
死にたいくらい辛くても
都会の闇へ消えそうな時でも
激しくうねる海のように
やがて君は乗越えてゆくはず
その手で望みを捨てないで
すべてのことが終わるまで
君住む街まで 飛んでゆくよ
ひとりと 思わないで いつでも
君の弱さを恥じないで
皆んな何度もつまづいている
今の君も あの頃に
負けないくらい 僕は好きだから
歌い続ける 繰り返し
君がまたその顔を上げるまで
あの日の勇気を忘れないで
すべてのことが終わるまで
君住む街まで 飛んでゆくよ
ひとりと 思わないで いつでも
雲の切れ間につき抜ける青い空
皆んな待ってる また走り始めるまで
その手で心を閉じないで
その生命が尽きるまで
かすかな望みが まだその手に
暖かく残っているなら
……忘れないで
すべてのことが終わるまで
君住む街まで 飛んでゆくよ
ひとりと思わないで
あの日の勇気を忘れないで
すべてのことが終わるまで
君住む街まで 飛んでゆくよ
ひとりと 思わないで いつでも
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君住む街へ(小田和正)
アルバム【LOOKING BACK2】参照
JASRAC作品コード 087-1649-8
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こんにちわ。
年内に終わるって本当ですか。ショックだなぁ。
再放送とかビデオ化とか期待しても無理ですよね。
Posted by: ちょび爺 | December 07, 2004 10:50 AM