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January 28, 2005

「夕凪の街 桜の国」----穏やかでスローな悲しみ

yunagi





原爆投下後10年経ってから始まる物語は、その穏やかで控えめなトーンを最後まで崩さない。

暗い地下の喫茶店で読んで泣いていたら、何年も前に訪れたヒロシマの平和公園と元安川を思い出した。
原爆ドームの近くに流れるその川の水は瑞々しく、手を入れると冷たく感じた。

あの時も暑い夏だったと思うけれど

「ヒトの悲劇の時間と顛末は、おそらくどこかで誰かが見ているのだろう。」

そんなはっきりとした言葉でではなかったけれど、あの時きっと僕はそう感じた。

信仰心のない僕は、誰かを「神」とは規定しないけれど、おそらく規定したとしても、
そう間違いではない。

ノンフィクション作家の柳田邦男は、
その著書「犠牲 サクリファイス わが息子・脳死の11日」

1人称の死を「自分の」死。
2人称の死を親しい「あなたの」死。
3人称の死を「どこかの誰かの」死とした。

「夕凪の街 桜の国」は、とても穏やかでスローな本だけれど、
「どこかの誰かの悲しみ」(=3人称の悲しみ)を「あなた自身の悲しみ」(=1人称の悲しみ)として伝えてくれるだろう。鮮やかに。

ヒトの悲劇の時間と顛末は、きっとどこかで誰かが見ているのだ。

※以前書いた記事「非人道的」とはどういうことなのか。批判の限界(1)-(3)を別の視点からそれも極めて高い質と説得力で展開していただいたと、いささか勝手に解釈している。

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Comments

TBありがとうございました。こちらからもさせていただきますね。
「夕凪の街 桜の国」、とても苦しく胸かきむしられる漫画でした。読んでいると辛いのに、なぜか何度も手にとってしまいます。
たくさんの人がこれを読んで、いろんなことを思ってくれたらな、と思います。

TBありがとうございます。こちらからもさせていただきました。
「夕凪の街 桜の国」ですが、買って2週間になりますが未だに一日1回は読み返しています。
今から60年前に、ヒロシマに何が起こったのか、
そしてそれはどのような影響を与え続けたのか、
その事がこの本を通じて少しでも多くの人に伝われば
それが私の願いです。

コメントありがとうございます。
これほど多くの人たちがこの本を読み、誰かに伝えようとしている。このことは救いですね。
情緒的なことだけではなく、ものを伝えるということの一点に関して、大変な底力を持った作品だと思います。
それでいて、前向きにしてくれるところも、この作品の持っている大きな特徴ですね。

ではでは。今後ともよろしく。

すみません、随分前にTBいただいていたのに気がつきませんでした。失礼いたしました。お越しいただきありがとうございます。
この本を出来るだけ多くの方に読んでいただきたいと思います。特にお若い方に。私もあちこちで勧めているところです。

こんばんは。勝手にTBしたわけですから・・笑
コメントありがとうございます。

ところでサイトを拝見したらpeacemamさんは、能狂言に興味がおありなのですね。私との共通項です。檜書店とか懐かしいですよ。最近は見に行く機会が減り、この方面はまだこのサイトには一度も書いたことがないですが・・
また訪問させていただきます。

今後ともよろしくお願いします。

 改めてこんにちは。

 社会に大反響を巻き起こし、こちらのブログでも紹介されていたこの本を、やっと読むことができました。いつもの僕の日記に「感想」をUPしてあります。

 日記中でこちらのエントリーをリンクさせていただきましたので、トラックバック代わりにコメント欄でご報告させていただこうと。

 この作品に対してあまりに多くの思いが湧き上がるあまり、日記が無意味に長く混乱したものになってしまいました。こんなものを公開してしまって非常に申し訳ない思いすらするのですが、その混乱ぶりも含めて、この作品の感想なんだと開き直ろうと思っています。

 その湧き上がった思いの中には、こちらの「非人道的とはどういうことなのか」に関連するついてのものも非常に多く含まれていますし、それ以外にも、こちらのブログで受け取った思いを自分なりに考えたものがいくつもあります。我ながらここには影響を受けているなと思います。

 とはいえ、こちらの趣旨にあえて逆らっていたり、こちらでは慎重に考えようとしている大問題を投げっぱなしていたり、「派生したもの」というにはあまりにかけ離れたものに思えるのも確かなのですが。

 いずれにせよ、最悪の出来であろうが何だろうが、いったん書いて公開してしまった以上、文責者として、遅ればせながら、第一にご報告すべきところへご報告にあがりました。

 以上、よろしくお願いいたします。

今晩は。
お知らせいただい前から、既に感想は読ませていただいています。たとえ未整理であっても、ボクシングファンさんの心象にただならないものを残したのだということはよく理解できます。

で、私たちはここから先を考えなければならない。受けた心象はおそらく人によってそんなに距離があるとは思えないのだけれど、現実政策に関しては、それぞれ違う結論が出ると思います。

で、そこが難しい。ずっと考えていかなければならないのだけれど、観念で終わらせてはいけないのだけれど。

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