民主党ブロガー懇談会・アーレフ関与問題----GripBlogと松永氏に問う
3月6日に書かれたこの記事「民主党本部を直撃」を読んだときには驚いた。民主党のブロガー懇談会でご一緒した「絵文禄ことのは」の松永英明氏が、元アーレフの河上イチロー氏と同一人物であることを、フリーライターの野田敬生氏が民主党に取材して確信を得たこと、そしてそれがFlashに掲載されるという。
かつてよりきっこ=松永氏説があることは知っていたが、まあ面白い見方があるものだなどと気楽に眺めていた。まさかその見方と、アーレフという宗教団体が結びつくということは考えてもいなかった。もちろん、あの懇談会にその疑いをかけられている人物と一緒に出席したなどと思いつきもしなかった。
この件に関するエントリーをアップするのに時間がかかったのは理由がある。
●3月8日から今までのこと
※私は民主党のブロガー懇談会に出席することを希望してGripBlogの泉さんに選抜していただいた。貴重な機会をいただいたことを今でも感謝しているし、その後何度か実際にもお会いもしている。全般的にはあなたの支持者の一人であったと思っている。それだけに直接コミュニケーションすることで大半の問題は解決できると思っていたが、現在までの全体的な経過と今回のことの重要性を踏まえて、事実経過を公表する。こうした手法は心苦しいが、私信の細かい部分はもちろん割愛するので、どうかご了解いただきたい。参加者の1人としてこれが最低限のミッションであると私は思っている。そしてGripBlog「泉あい」の現在の置かれている立場の重要性を再度認識してあなたの持っておられる情報をぜひ公開していただきたい。
(1)3月8日に発売されたFlashを読んだ段階で、私はすぐに泉さんにメールを出した。この件に関して泉氏が認識しているかどうかを確認することと、あのときブロガーを集めた泉氏自身の見解を聞くことが目的だった。なんらかのコメントをGripBlogで出すべきではないかということも添えた。私としては、軽々しくこの問題に自分のところでコメントするよりも、まず中心になっていた泉氏の公式なコメントが聞きたかったのである。それを確認してから自分のサイトでコメントを行おうと思った。
(2)3月8-9日にかけて、親しい友人にも手伝ってもらい、ブログやネット上でこの件に関する情報収集をした。野田氏の書いた他の記事や河上イチロー氏の経歴、写真等を確認した。
(3)3月10日になって泉氏から返信をいただいた。その内容は心配をかけて申し訳ないということ、ご自分のやりかたに問題があったかもしれないということ、そしてコメントについては時期を見て検討してみるということだった。
(4)私は泉氏に再度メールを出した。そして次の3点についてお答え願えないかということを書いた。近く民主党の某議員とのパネルディスカッションがあるので、その前にできるだけ事実を確認したいという趣旨も書いた。
◎あの懇談会に松永氏を呼んだのは、泉さんからお声をおかけになったのですか?それとも向こうから出席の意向が寄せられたのですか?
◎この件に関し民主党から確認は入ったのですか
◎泉さんは結局、野田氏の取材に応じられたのですか?
いずれもすぐにお答えいただける簡単な質問であると思っていた。
●ところが3月11日10日に泉さんから再度ご返信をいただいたが、残念ながら3つともお答はいただけなかった。「ジャーナリスト」として軽々しくその問題にお答えできないというのが氏の答えであった。ご自分のことはコメントできても他の方のことは軽々しくコメントできないという下りもあった。
●私は納得できなかったので3月12日10日夜中にメールを出した。泉さんがジャーナリストを名乗る以上、この問題をネットに対しても、当時の参加者に対しても説明する必要があるのではないかという内容である。直接回答いただけなくてもブログでコメントするのにもう少し時間がかかるならそれを待つということも添えた。
●その後まもなく12日11日の深夜にGripBlogで泉さんのエントリー「ネットジャーナリズムの弱点に直面しています~取材再開へ向けて」がアップされた。この少し前にご説明のための電話もいただいたようだが、私はたまたまその電話に出ることができなかった。
※【3/12 加筆訂正】一部日時が不正確だったので訂正しました。
アップされたこのエントリーは私を失望させた。内容は私にいただいたメールの内容とほとんど変化がない。私にとっても、ネットの人たちにとっても最大の関心事であると思われる点については、まったく言及がない。泉さん自身の信用に関わる部分にも言及がない。ただフラットに「反省」しているだけである。しかも「ネットジャーナリズムの限界」という、別のフレームにフォーカスがいってしまっており、すぐに他の話題にシフトし、耐震偽装の取材の打ち切り理由もこれでは明確ではない。泉氏はこのエントリーで問題を終わらせようとしているのだろうか、と感じられた。
泉さん、あなたの目指すジャーナリズムというのは何なのだろうか。このような重大な節目に遭遇して、事実を事実として取材して伝える努力をしないところに、ネットジャーナリズムも何もない。ジャーナリズムとはフレームや仕掛けではなく、こうした重大な局面にどこまで勇気を持ってディテールにこだわるかということにあると思う。そういう意味でGripBlogのコメント欄に書かれたいくつかの指摘は私もまったく同感であるし、これではいくら憶測を呼んでも仕方がない。これはあの時参加したすべてのブロガーにとっても非常に不本意なことであると思う。
私たちは、公党を囲む陰謀論のコアとなる工作の可能性のある人物をあの場に招きいれてしまったのであろうか。もしもそうであればいくら民主党のチェックが甘かったとは言え、信頼して胸襟を開いてくれた民主党に対しても多大なる迷惑をかけ、そして他のすべての人に対しても重大な問題を発生させることに立ち会ってしまったことになる。同時にもしも松永氏がきっこであった場合、政局に与える影響は計り知れないほど重い。もちろんすべてが冤罪であった場合、あなたの、松永氏の、そしてあの場を利用して発言を行った私たち参加者の名誉も回復されなければならない。
その重みに比べて、あなたの処理の仕方はあまりに軽すぎると私は思う。あえて言う。それでもあなたはジャーナリストを志す人であると言えるだろうか。
しかも理解に苦しむのは、3月8日に自民党の懇談会に出席した後、あなたは他の3人の出席者と、松永氏と5人で二次会にまで行かれている。通常であれば、これほどの問題が起きているときである。GripBlogとしてはそこで松永氏にまず「取材」を行い、事の真偽を確認し公開すべきではないのか。
それを抜きにして、これほど重要な局面で
そして今回、実際にそのような場面に直面したのだと思います。
(誤解されたくないので念のために言っておきますが、雑誌『FLASH』に書かれているM氏のことだけをここで問題にはしているわけではなく、どんな人でも入り込むことが可能だと言いたい)
インターネット上の書き込みには、悪意を持った人も確かにいるでしょう。でも、「だからインターネットはだめなんだ」という思考にはなりくはない。
「誰がものを言っているかわからないから、やっぱり今まで通り大学教授や有名人に語ってもらおう」と、ネットジャーナリズムまでもが、既存のマスメディアのように声の大きい人たちに牛耳られてしまっていいのだろうかと思うのです。
(ネットジャーナリズムの弱点に直面しています~取材再開へ向けて)
などと問題を丸め込むのでは、ジャーナリストしてのあなたの将来も名誉も今後の取材の展望もない。どうかもう一度よく考えていただきたい。
●松永氏=河上氏なのか
私自身も責任としてこの件について触れておかざるを得ない。
言うまでもなく、去る10月31日のブロガー懇談会で確かに私は松永氏と同席した。で、Flashに掲載された写真および
http://web.archive.org/web/20020201224538/http://deva.aleph.to/index.shtml
にある写真をみた印象で言えば、「よく似ている」。しかし100%同一人物であるという確証もない。あくまで私はあそこで初対面であったのであり、半年の間に記憶もぼやけている。ただし、似ているのは確かであり、この写真をまったくの別人であり両者が「似ても似つかない」と断言する、いくつかのサイトには賛同できない。
しかし誤解をしないでいただきたいが、過去においてたとえ松永=河上氏がアーレフに所属していたからといって、それですべての彼のそれ以外の実績が否定されるわけではない。ただご本人もそれを明確に説明されない以上、懐疑的な見方がされるのは当然である。
松永氏はじぶんがきっこであるということは否定しているが、河上イチローとの関係については曖昧な説明しかされていない。容易にこの点を説明するのはし難いことなのかもしれないが、ことがここまで大きくなっている以上、肯定なり否定なりを明確に松永氏はすべきであると思う。
奇しくも3月3日に書いたこのエントリー「メール偽装事件と天の配剤---今更だけれど民主党ブロガー懇談会でのこと」で、期せずして松永氏の書かれたかつての議事録を引用させていただくと同時に、文末で「今後も天の意外な配剤は続くであろうから」と締めくくった。この言葉があまりにも当てはまるその後の経過に驚きを禁じえないでいる。
【3/12 加筆訂正】
アレフ→アーレフ
河上イチロー氏とされる近影(極東情報網録 the Far East News Net blog)
http://usam.blogtribe.org/entry-a6ce3b5b3bbe53352e950d39dcf70d53.html
【3/13加筆修正】
松永氏に関わる表現の一部を訂正
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「民主党ブロガー懇談会・アーレフ関与問題----GripBlogと松永氏に問う」
知らない方のためにちょっと説明すると、3月8日発売の『Flash』に、昨年行われた民主党前原代表との「ブロガー懇談会」で、元オウム信者(と言われている)の松永英明氏が参加していて、民主党にIT戦略の指南をしたという記事が掲載されていた。
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私も参加していたので、当事者ということになる。
最初に『Flash』の記事の話を聞いたときは驚いた。... [Read More]
いや、いいエントリーでした。
このブログ、どうも白樺憂鬱風立ちぬ妙齢が波を乱しますが、この場面は少し違いますね。
Posted by: 黒崎 | March 12, 2006 06:19 AM
全然似てないんだけど、って俺リアルで松永氏に遭遇したの一年以上前だからなぁ(苦笑
Posted by: nora | March 12, 2006 09:48 AM
内容に関してはその通りで正論だと思うけど、気になるのは、で?って部分。
で、この後の展開はどう考えているんだろう。泉さん潰して、ネットの健全性を示して、それからどうするのかな。
当然、今後泉さんに変わってブログ界を身を呈して引っ張ってくくらいの覚悟を持つのは、選択肢の1つに過ぎないレベルで熟慮した上での、エントリーだと信じて疑わないのですが。
Posted by: Jun | March 12, 2006 11:42 AM
泉を潰すとか潰さないとか、話をそういう流れにもっていくのは、GripBlogでの常套手段ですね。
で? と疑問をさしはさむことで、現在の問題を矮小化するという手口。
あるいは論点ずらし、という奴です。
Posted by: 黒崎 | March 12, 2006 01:20 PM
松永氏もartane氏も、ほとんど誰も事実確認をしにこないと言明しております。私はBigBang氏がどれほどの方なのか存じ上げないのですが。ジャーナリズム云々を他者に説教するなら、何故確認をしないんでしょうか?泉氏にメールで確認するのなら同時(または先に)本人(松永氏)にも確認するのが筋ではないでしょうか?今回の件はあなたも含め評論家気取りの登場人物ばかりで外野から見ていてアホらしいですよ。
Posted by: というか | March 12, 2006 02:17 PM
民主党の懇親会で福井を見かけたことがあるわけですから今更コンタクトを取る必要はないでしょう。
Posted by: 遺産 | March 13, 2006 12:39 AM
この件でいろいろ取り込み中なのでワンコメントで失礼。しかし黒崎さんに褒められるとは(笑)驚きました。
松永さんとのお話し方法も考慮中。
Posted by: BigBang | March 13, 2006 02:16 AM
すんません。
ブログのバージョンアップを行ったのですが、やっぱりTBはエラーになります。
ということで、エントリーを上げましたのでご連絡しておきます。
http://www.janjanblog.jp/user/vjt/azumi/981.html
Posted by: 安曇信太郎 | March 14, 2006 12:49 AM
こんばんは。あ、大丈夫です。TB通ってますよ。っていうか今記事読みにそちらへ行ってました。
Posted by: BigBang(>安曇さん) | March 14, 2006 12:52 AM
オウムの宣伝係してた人ならオウム監視してる公安は最初っから知ってた筈ですよね?
本人もそれくらい承知の筈ですよね。
なのにばれてびびっているから、ばらさない約束になってたんですかね?少なくとも公安は。
つーことはどういうことなのだろうか?
Posted by: Arama | March 14, 2006 04:48 AM
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Posted by: drdowning | August 16, 2007 05:45 AM