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April 16, 2006

アイフル業務停止に思う-----稼ぐ「渡鳥不良社員」の実態に目を向けるべきだ

金融庁、アイフル全店の業務停止命令へ・3―25日間

一般に言われる「上場企業の社会的責任」といった企業倫理を遵守できるかどうかのポイントの一つは、「成績の良い不良社員」に対して、企業の経営層がどのような厳しく的確な評価を与えることができるかにかかる。
今回摘発されたヤクザ紛いの回収を行った社員はおそらく一部であり、大半の社員がみなあの類の脅迫的取立てをしているわけではないと思うし、組織的にそうした命令が出されていたとはと思い難いが、得てしてこうした強引な回収方法を行う社員のほうが、実直な社員よりも数字的実績をとってくる場合が多い。彼らの雇用形態は、多くの場合極端な歩合制の契約社員である場合が多い。ひとつの企業に長く身を置かず2,3年で次の職場を探す。

これは、消費者金融業界に限ったことはなく、たとえば訪販を中心にした教材販売会社においても、格段の成績をあげる営業社員グループといったものが存在することを私は知っているし、新聞販売のセールスにおいても「そうしたグループ」が存在する。外部からも時には内部からも眉をひそめられながらも、数字的成績のいい社員はなかなか組織から自発的に切り捨てることができない。企業内部に、相当強固なモラル規定とチェックシステム、罰則条項が成文化されていなければ無理である。

こうした輩にとっては、実は企業の看板などはどうでもいいのであり、関心は自分の手取りだけである。今回のアイフル関連で公開された録音テープなどを聴く限り、アイフルの企業イメージや公開企業としてのコンプライアンスなどは、念頭にない。元来実績を武器に企業から企業へ渡り歩く、渡り鳥のような集団であり、明日にはよりバックの大きい、別の企業に籍を置くために出奔するかもしれないし、つなぎには闇金融の回収を並行で請け負うかもしれない。

要はこうした「営業成績抜群の不良社員」を中長期的な視点から拒絶したり是正したりしていけるかどうかが、企業が社会的信用を確立できるかどうかの境界であるのだが、多くの企業の経営者がここで蹉跌を踏むことになる。
数字は、客観的に非常に評価しやすい基準であり、月に1000万稼ぐ社員よりも、月に100万稼ぐ社員がその倫理基準によって前者よりも評価されるということはめったにない。めったにないけれども、結局一部の渡り鳥的な「愚連隊」のようなメンバーに、知らないうちに(あるいは知りつつも)企業の根本を腐食されることになる。

もっとも企業側も狡猾であり、こうしたグループを何度も切り捨てては、企業全体が生まれ変わったかのような「偽の禊」を演出して、結局同じようなことを繰り返していく場合もあるから、どちらもどちらという面もあるが。

結果的に多大なる損害を受けるのは、もちろん彼らの活動を黙認することで支援した企業であるが、社会的な騒ぎになっているころには、それらの者たちはわずかな罰金など、巧みに微罪で切り抜けて次のショバを求めて「予定の範囲として」移動していることが多いのである。そこで同じようなことをまた繰り返す。

そうした裏の実態を見つめることにも報道は配慮すべきであると思うが、もしも業界の実態を、より具体的に知っている人がいれば積極的にブログなどで発信していくことも意義があると思う。

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Comments

こんにちは。
>組織的にそうした命令が出されていた
ことはないでしょうね。今の大手消費者金融は、そこまで悪質ではないと思います。というより、貸し倒れだって計算の内なわけですし、今はそれなりにきちんとした企業じゃないかと思いますけどね。高利貸しには違いないですが。CM打つのだって企業努力のひとつではあるわけで、社会全体から見ての倫理はともかく、企業を責めるのは筋違いka
と思います。印象操作を言えば、外資系保険のあひるちゃんCMも結構極悪だと思いますし(笑)。ま、あまりにも派手な広告展開でしたから、自粛を求められてもしょうがないかなとは思いますが。

アイフル糾弾団体の論調にしても、極端に悪質な事例を表に出しすぎていますね。まあ日弁連らしいな、ではあるのですが、あれはおっしゃる通り、本質ではないでしょう。うちでエントリをまとめる時も、どこを採用するか、いろいろと躊躇がありました。特に保険に関して裁判を起こした事例は、アイフル全体に敷衍はされないでしょう。あの件の報道などの扱いには、私は少々引っ掛かりがあります。保険の扱いに改善を求めるのは、当然なのかもしれませんが、あれを大きく報道するのはどうなのかな・・

アイフルは、他社と比べて突出して調停に応じないとか、債務整理に関してものすごくごねる企業でした。この辺の方針は、会社が決める部分ですからね。一部社員の暴走という要素とは別に、過剰な成果主義を「押し付けていた」ということがあるでしょう。応対も全体的に見て相当きつかったのは確かで、極端に悪質な物はともかく、債務者との交渉にとにかく応じない。そういう意味で問題があったんですね。
司法関係からは、かなり顰蹙を買っていたようです。不利な判決が出るようになったのは、その辺りの事情もあるだろうと推測しています。まあ私もそんなに詳しくはないのですが、報道は今回の消費者金融全体への金融庁の取り組みと、アイフルの事例をごっちゃにしている感はありますね。確かに切り離しては語れない事ではあるのですが。特にテレビは、今まで遠慮がちに報道してたくせにねえ、と思いますが(笑)。武富士の時と同じ、ということではあるのですけどね。
長くなってすいません。

エントリの内容とかなり離れてしまいました。すいません。

一部の不良社員の仕業ということはない。
名称は出さないが、一般の店舗ではない、地区の大きなセンターでも嫌がらせとしか言いようのない取立ては日常茶飯事。
債務者が騒ぎ立てないから問題になっていないだけ。

今晩は。

>名称は出さないが、一般の店舗ではない、地区の大きなセンターでも嫌がらせとしか言いようのない取立ては日常茶飯事。

できれば、少し具体的に書いてみていただけませんか?

コンタクトセンターにて、架電履歴の未登録や事後書き換え(ほとんど改ざん)が横行していたのであれば、「組織的」といわざるを得ません。

あと、これは金融庁にて事実認定された範囲ですが、アウトバウンド系にて「勤務先に何度も何度も架電した」というくだりがあります。この時点で、アウトバウンドシステム側に設計欠陥か運用欠陥があるのは明白です。ていうか架電停止基準がザルでしょこれ。組織として、改正貸金業法を意図的に無視してた、というそしりは免れないでしょう。

すみません。用語が専門的過ぎて。「架電」とは督促の電話をかけることですか?「架電履歴の未登録」とは具体的に何を指すのですか?

良ければ教えてください。

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