堀江貴文の「サンデープロジェクト」出演について
3日・日曜日の朝、テレビをつけたら「サンデープロジェクト」に堀江が映っている。あれ?事件前の録画かなと思ったら、生だった。この時期のテレビ出演はないと思っていたので驚いた。座りなおす。
発言の主要部分と思われる箇所を少し。
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堀江:彼(宮内)は早く終わらせたいから。多分、否認できると思うんですよ。僕は強制捜査されたときから何でこんなんでやられてるのか分からなかったから、こんなの認めたらアホでしょみたいな話だったわけですよ。彼なんかはやられちゃったものはもう仕方ないからさっさと認めて早く終わらせて忘れられようと思ってるんだと思いますよ。頑張ろうと思えば頑張れたと思うんすけど、一番最初に落ちちゃったみたいですからね。
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堀江:(投資事業組合の金の流れについて)いや、それはこんなのを粉飾だということ自体がまずおかしいよという話です。そもそも我々、投資事業組合、僕が知ってる知らないは別として、客観的事実を前提にしても、これはファンドにまず実態があってダミーなんていうものじゃないよと。(検察がダミーといっているのは)彼らの定義であって、我々は実態があると思っている。検察はライブドアのダミーだと言っているが、そうじゃなくて独立した存在であってライブドアが支配しているわけではない。まったく別個の存在であると。だから連結する必要ないでしょうと。連結をしてない会社からの分配金なんだからそれは売り上げに計上していいでしょうと。客観的事実についてもこれは粉飾ではないと言っているわけですよ。
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田原:(宮内が)フェラーリに乗ってる事は知ってたの?
堀江:フェラーリに乗ってる事はライブドアの社員が「宮内さん最近フェラーリ買ったんすよ」みたいな話をしていて、あのフェラーリは宮内さんのなんだと。中村さんがフェラーリに乗っていた事は自慢していたから知ってたんですけどね。宮内さんは別の人から聞いて知って、後ろめたかったんでしょうね。
田原:これはプライバシーなので言いにくいけど、宮内さんって年収どのくらいだったのライブドアで。
堀江:事件の当時で2千万何百万ですよ。僕は3千万。僕より彼は扶養家族も多いしね、愛人も居るし。マンションもあるし、家も2つあるし。だから結構お金掛かってるんだろうなって思っていたわけですよ。僕より年収少ないのに何であんなに金回りいいんだろうとは思っていましたよ。だけどやっぱり税理士やってましたから、そのときのお客さんからの収入があるのかなと思っていたんです。不労所得みたいなのがあるのかなと。だからあんなリッチな生活してるんだろうなと。ベンツもいいのに乗ってるし、服もいい服着てるし、僕はスーパーで買ってきたみたいな服着てましたけど。そしたらこれだった納得ですよ。ビックリしました本当に。だってこれ以外にもあるんだもん。
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田原:あえて聞きたい。仮に知らなかったとしても堀江さんは社長だったんだよね。社長っていうのはいろいろ知らないことはあってもやっぱり責任はあるんじゃないの?
堀江:そこがまた微妙な話なんですけど、知る努力っていうのを最大限私はいろんなところで監査法人にもお願いしてるし、リーガルチェックも弁護士さんにもお願いしてるしもう最大限の努力を私はしているわけですね。で、してる上で見逃してしまっていることはあると思うんですけど、まあ、そういう状況にあるということですね。そもそもこっちの37億の方は違法かどうかもまだわかんないわけですよ。検察は違法だって言ってますけど、こっちは合法だって言ってますから。公認会計士
田原:で、公認会計士たちも違法じゃないって言ってるわけですね。
堀江:ものすごく難しい仕組みなんですから、本当は。要は難しくって会計士だってこれが100%正しいっていう風に言えないんですよ。検察の言い分が100%正しいって言う事が出来ないくらい会計的な専門的なことなのに、しかも会計士が大丈夫って言ってるのに我々会計の素人が違法だ合法だの判断が出来るわけないじゃないですか、そもそも。
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保釈中とは言え、刑事被告人がこの時期にテレビに登場して、事件の根幹をあれこれしゃべること自体が、かなり異例のことだろう。掘江の主張は、間接的にメディアに流されているように、宮内首謀説であり、代表取締役(CEO)である自分は、投資組合の件にしろ、宮内らの「背任行為」にしろ全く知らなかったというものである。このあたりは、逮捕された当時の動揺はすっかり収まっており、相当説得力の面では練ってきている印象を持った。
もちろん、企業の代表が企業で行われていたことを知らなかったで済むかという考え方はあるが、これは社会的通念であり、倫理的責任の部類に属する。堀江の主張は、宮内らが、私腹を肥やすために、堀江に内緒で私的な投資事業組合で利益を上げていて、その構造を正確に堀江に報告していないというものであり、それが認められれば、無罪の可能性どころか、今度は堀江が宮内を相手に、損害賠償の訴訟を提起する可能性すら考えられると思う。
さらに、投資事業組合を通じての売却益を、ライブドアの営業利益に付け替えた点においては、会計士ですら違法性を認識していなかったという主張をなしており、「会計知識において」素人の自分に、違法性の認識があるわけがなかったとしている。このあたりのグレー領域を、はっきり違法性の認識が会計士にも堀江にもあったはずだという論を組み立てないと、元来違法性の微妙な領域であるだけに、論外の主張として堀江の有罪を追い込んでいけるかどうか、今後の裁判の維持に危惧を感じる。
ライブドアへの強制捜査そものが、国家による意図的な「仕組まれた事件」であるとして、無罪認定など万一出た場合の検察の受けるダメージは計り知れない。国家賠償の問題すら浮上してくると思う。
その固めの点において、マスコミに流されている堀江の敗北イメージと法的議論の乖離次元で、いささかの不安を覚える、堀江の姿勢である。
しかし一方で。
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田原:だけどもっと言えばね、結局自社株売却して堀江さん儲かってるんでしょ。
堀江:堀江さんは儲かってないですよ。損してますよ。だってこれ株式交換って仕組みが使われてるんですけど、株式交換すると僕の持ち株のシェアどんどん下がって行くんですよ。僕、今、十数%しか持って無いでしょ、ライブドア株。元々60%持ってたんですよ、上場したときは。それからどんどん一部売った分ありますけど、売った分なんて数%ですから、2~30%シェアが下がっているわけですよ。だから今何の力も無いでしょ、ライブドアに対して。それは株式交換の仕組みを使っているからなんですよ。だから僕の持ち株のシェア、どんどん下がって、僕は損してるんですよ。
田原:一般的には堀江さんだけが儲けたと言われてる。
堀江:だって、上場したとき僕の持ち株の価値、いくらあったか分かってます?500億くらいあったんですよ。今は多く見積もっても200億とかそんなもんじゃないですか。そんだけ価値下がってるんですよ、上場してから。
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堀江が損失を被ったのは、単に株式交換で持ち株比率が低下した(堀江の主張によれば60%から十数パーセントに)からだけではない。一連の「不正操作」により検察の強制操作を招いたことにより、ライブドアの株価が急落したことにより株の価値が暴落したためでもあるのであり、このところをスルーして、持株比率の低下をベースに「損している」と主張するのは、巧みとも言えない、彼の「印象操作」である。こういうところを見ると、堀江という人間の本質は変わっていないなあと思わされる。
そのあたりはテレビ朝日の寺崎アナも感じたようで、以下のやりとりがあった。
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田原:ちょっと、寺崎さん。ごめん今聞いててね、どんな感じ?
寺崎:堀江さん、依然とまったく変わってないな、という感じで。
田原:どういうこと?
寺崎:つまり拘置所の中で本をいっぱい読んで、人生見つめなおしたみたいな報道がありましたが・・・。
田原:300冊読んだって。
寺崎:基本的に今のお話を伺ってると反省というのは無いし、反省する必要ももちろん無いと思っているということですよね。
堀江:まあ、そりゃそうでしょうね。
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寺崎アナの憤りもわかるが、読書や人生の話とは別次元の話である。(笑)この後、田原は盛んに 赤江珠緒アナにも堀江を信じられるか?と話を振るが、挑発に乗らない赤江の冷静な対応が目立っていた。
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田原:赤江さん、今の話聞いてどう?
赤江:私、寺崎さんと逆になるんですけど、堀江さんの以前と話し方が変わって穏やかに話されているように感じるんですけど。それは心境の変化なのかな、と。
田原:言ってる事はわかる?堀江さんの話していることは分かる?
赤江:粉飾かどうかというそれはちょっと置いといてですね。なんか変わられたのかなという気もするんですけどね。
田原:じゃ、割りにいい気持ち?いい感じを持ってる?
赤江:いい感じ?う~ん、ご自身を前にして答えにくいですけどね。そのあたりは堀江さん、どうですか変わられてないですかね?
【追記・参考リンク】
●ホリエモンTVで反撃(ライブドアニュース)
●YouTube-堀江貴文被告・サンプロ出演 ライブドア事件を語る(サンデープロジェクト)
●カテゴリー:ライブドア(BigBang)
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» 「嫉妬深いエリート官僚の恨みを買った」堀江氏の反撃 [ネットーワーク研ブログ]
このブログではライブドア事件・堀江貴文被告関連のニュースをまとめてお届けしています。【PJニュース】12月15日の金曜日、会社の昼休みに2ちゃんねるを見ていたところ、元ライブドア社長・堀江貴文氏が、英ファイナンシャル・タイムズ(FT)紙で「堀江節」を炸裂させたス...... [Read More]
» フィナンシャル・タイムズ掲載堀江貴文氏の告白要約 [英文 ダウジング翻訳のメモ]
フィナンシャル・タイムズ掲載堀江貴文氏の告白要約
フィナンシャル・タイムズ堀江貴文氏の告白要約がaoki教授のところにでていますが、(aoki教授の記事はどれも面白いです)このエントリ面白いです。
[http://iiaoki.jugem.jp/?eid=437 ある女子大教授のつぶやき]から引用
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堀江貴文氏の告白 ホリエモンの記事
フィナンシャル・タイムズ(2006年12月14日)はウオールストリート紙の英国版みたいな新聞で、用紙がピンクであることが特徴となっている。..... [Read More]
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堀江さんが勝ったら面白いですね。
Posted by: kubokawa | December 04, 2006 02:56 PM
こんにちは。
ライブドア問題。
私もオイカケをしていました。
堀江の出演番組を観たかったなあ。
ライブドア問題は、2006年というのがキーだと思います。
Posted by: けろやん。@ケータイ鳴らんよ | December 04, 2006 07:26 PM
>kubokawaさん
いやあ。。勝つことまでは多分・・・難しいのではないですか。道理と別に。
>けろやん
僕の記事の末尾にあるYouTubeから番組を見られるよ。
Posted by: BigBang | December 04, 2006 07:45 PM
こんちわ。
>堀江が損失を被ったのは、単に株式交換で持ち株比率が低下した(堀江の主張によれば60%から十数パーセントに)からだけではない。
自分もこの部分「株価が下がってるだろう!」って思わず突っ込みたくなったんですけど、ライブドア株って上場当時と比べても暴落してるんですかね?素人なんで、単純に昔の株価と比べられるかも良く分からないんですけど。
Posted by: marume | December 04, 2006 09:30 PM
株式分割を繰り返していますから(うろ覚えだけど、上場当時から比べたら何万分割とかしているはず)単純にはいかないのではないでしょうかね?ただ今でも損はしていないと思いますが、非上場になってしまいましたから、相対取引しかできませんね。そのあたり微妙でしょうけれど。
Posted by: BigBang | December 05, 2006 01:30 AM