自衛隊は暴力装置か
仙谷官房長官が「自衛隊は暴力装置」と発言したことで騒ぎになってたみたいだけれど、政治学科出身のせいかもしれないけれど、軍隊が暴力装置というのは、ずいぶん前から自分の中では常識になっていて、そんなに違和感がない。
暴力装置という言葉自体が、マルクスやレーニンが使った左翼用語だからけしからんとか、いや左翼でないウェーバーが元々使った言葉だとか諸説飛んでいる。
ヴェーバーの「経済と社会集団」のGewaltapparats は「暴力装置」というより、フラタニティに対する既存の「政治勢力の仕組み」というように読める。
http://twitter.com/#!/finalvent/status/5256986279022592
というか、Gewaltapparats を「暴力装置」という文脈で使うヴェーバーの文献はなさそう。
http://twitter.com/#!/finalvent/status/5257248989253632
(いずれもfinalventさんのツイートから)
暴力装置の語源を単純にウェーバーに求めるのも不正確なようだが、遠い日の授業の記憶では国家の定義をいくつか行うときに、そのひとつに「国家とは暴力装置であ る」説というのがあって、うっすらとした記憶ではウェーバーというより、やはり左翼的な国家観の流れの中で説明を受けたような記憶があるんだけど。(曖昧でごめん)
いずれにしてもこれは仙谷さんのオリジナルではないわけで、自民党の政治家の皆さんが「自衛隊に謝れ」などと絶叫するようなものであるとも思えないのだが (仙谷オリジナルだと思っている人いそう)何にしても、いくらこの用語がアカデミックには「常識」であったにしろ、政権担当者たる官房長官が国会で口にするにふさわしいとは言えないというのは、その通りだろう。
とにかく、仙谷さんという人はこういうところの政治的センスがない。どうも民主党の政治家は、自民党の舌禍政治家たちとはまた風味の違う失言を繰り返すところがあり、仙谷さんはその中でもほんとに叩きどころ満載の人だ。
そもそもすぐ謝るくらいなら最初から言うな。
「覆水盆に返らず」
いったん口に出した言葉はそう簡単に引っ込めるなと言うのは、死んだ僕のおばあちゃんの言葉であります。
でも国会は別にして、こーいうの大学でディベートとかのテーマでやるといいと思うんだよね。このテーマで今の大学生がどんな議論ができるのか見てみたい。
「日本の自衛隊は暴力装置か否か」。
さて自衛隊は軍隊ではない(のだから暴力装置ではないと)言う怪説にまで戻るかどうか。
さすがにそれはもうないですか?
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