南相馬で、自宅に帰ってくる赤ちゃんのために除染体験した話
今まで、泥出しもやってるし、ちょっとこのあたりで除染も経験してみようと、3回目の南相馬で知人にお願いし、急遽チームに入れてもらったのだけど。。はっきり言って舐めてましたね。ここまできついとは思わなかった。以下はその時のお話。もう先月なんですけどね。
集合は朝7時。南相馬に行く人にとっては誰でも知ってる?名所「ヨガ爺テント村」に集まって、現場の鹿島区にある一般のお宅を訪ねる。南相馬ボラセン通しではなくて、前回の原町二中のイベントで知り合った屈強の常駐ボラさんなどの混成チーム。今まで僕は原町区ばかり行っていたので、野馬追のときを除けば鹿島区は2回目。というかほとんど初めてに近い。
色々手分けしてトラックや道具など揃えて現場集合したのが9時。総勢は15名程度になった。すでに現場入りして作業してた人たちと「これは昼までに終わっちゃいましょう!」などと軽口が。(これがとんでもない見込み違いである事は思い知らされる事になる)
除染をするお宅は、おそらく敷地50坪程度かな。現在はご主人がお住まいだが、再来週生まれたばかりの赤ちゃんが戻ってこられると言う。それで除染をオーダーされた。それはご心配だろう。気になるのは線量だけれど、庭の表面で0.6μSV/h程度。塀際で1μSV/h前後。それほど高くない。(南相馬としては)
段取りとしては、
(1)まず庭に敷き詰められている砂利を撤去→土嚢に
(2)次に表土を剥ぐ→土嚢に
(3)屋根と雨樋の洗浄
(4)庭に新しい砂利を敷き詰める
この段取りで、目標線量を0.3μSV/h以下にしようというのが、おおざっぱな計画。さあとまず砂利の撤去から。
ところがこれが思うに進まない。こういったら何だが、目標のお宅の庭は見たところはそれほど広大というわけではない。15人の人間が動けばそれで埋まってしまうほどの広さ。まして今回集まっているのは(僕は別として)屈強歴戦の猛者。ボラ初体験ですよとかいうチームではない。何しろリーダーは現職の鳶さんだったりする。昼までに終わると目論むのも当然だ。
ところが手強い。手強い。
何が手強いって、庭の砂利は土嚢につめるとずっしりと重い。表土は5cmくらい剥がないと0.3μSV/h近くにはならないことがわかっているのだが、これが土が固い。固い。固い。進まない。進まない。屈強の猛者たちの顔から次第に余裕が消えていく。その様子を見ていて僕も余裕が消えていく。エライトコロにキチャッタカな。。。
暑い日差しの中で、つるはしや鍬で土を削っても削っても、赤土はなかなか顔を出さない。赤土が出るところまで掘らないと線量は下がらない事はみんな知っている。固い土で肩が痛められる。体は水を膨大に必要とする。同じ人物が続けて作業できない。その上、土嚢につめた土は敷地の外に運び出さなければならない。
さて。。「どこに捨てる?」 え。。決まってるんじゃないの?
実は南相馬に限らず、一般住宅の除染を行っても表土の置き場がない。公的施設の除染マニュアルには「同一敷地内に仮置きすること」と記されているが、個人宅でそれは無理だ。土嚢はたちまち積み上がって場所を埋めていく。これをどこかに一時置きしないと、作業どころではない。
その時、メンバーの一人である地元の人が
「うちの山におけばいいよ。とりあえず」
え。。。問題がたちまち解決。
でもこんな話はそうそうない。この日の終わりまでに350Kg積みの軽トラック2台は、仮置き場との間を往復すること。。数えてなかったけどおそらく10往復はした? 1回の往復で30分はかかる。目的の仮置き場に着いたら今度は土をおろす作業がある。なわけで軽トラチームは1日中、土嚢をひたすら運んでいるから、表土はぎはできない。その上、固い土に阻まれてお昼をとうに回った頃、1人、また1人とメンバーが少なくなってきた。今日の夕方帰る人たちがいるのだ。
こういうボランティアさんを交通手段のあるところまで運ぶのも、重要な仕事。近くでタクシーがポンと拾える環境でもないし、駅まで送る手も必要だ。何だかんだで2時を超えるころには、スコップ作業をしているのはたった4人になってしまった。(しかもそのうちの1人は自分だ!!)水分補給休憩もひっきりなし。全く作業が進まない。
「これは今日中には無理だ。。。」
屈強エリート部隊からあきらめの言葉が出始めたそのとき、このままでは全く進まないので、応援を求めようとボラセンに行っていた仲間から朗報。午前の作業が終わった何人かが、こちらに向かってくれるという。
4人まで減った部隊は、やがて応援のボラさんが次々と駆けつけてくれて、また15人以上にまで復活。しかも女性がたくさん来てくれた。嬉しかった。もちろん力仕事で活躍するのは男性なんですが、女性が多いと効率があがるんですよ。わかりますよね。
たくさん応援を確保してきたメンバーが自慢。「さ来週赤ちゃんが帰ってくる」と言ったら一斉に女性陣の手があがったそう。女性は子供を守る。守る。思いは強いんだ。不浄な僕は、「今度から人が集まらなかったら赤ちゃんがいる。と言って集めましょう」と言って顰蹙を買う。女性といってもスコップを持ち、土嚢を運び、同じように作業する彼女たちに僕は驚いている。
力仕事は嫌いじゃないけれど、何しろここまで長い作業をしていると、怖いのは腰。どんどん効率が落ちて休憩がちな自分を尻目に、女性陣が重い土嚢をトラックに引き上げる。すごい。。。
応援を得て力づいた除染部隊の作業スピードは再びあがり、ようやく6時過ぎに屋根と新しい小石の敷き詰めを除いて、作業を終了した。残りはまた別の日と。線量はどこで計っても0.3前後までにはなった。
※屋根は若干の洗浄をしたのみ。庭の表土はぎの後に徹底するはずがこの日は間に合わず。
朝9時から延べ24名の力で、庭の表土剥ぎ除染が終了。しかし道をへだてた空き地では。。1.37μSV/h。うーん。
道路は高圧洗浄してやや下がる程度。水でセシウムの場所移動してるだけであり、あまり役に立たない印象。
現場写真を撮っていたら、除染お宅のご主人に声をかけられる。ご不快なのかとカメラをあわてて下げると「しっかり伝えてくださいね東電に。どれだけ除染が大変か。伝えてください」と。」
微力ながら。了解です。
わんこの家もしっかり除染。(笑) 安心して暮らせよ。
これはたった一軒の家の除染の記録(それも半分くらい)なのだ。今日の新聞には、福島全体で汚染された土は1億m3。東京ドーム何十個分もの汚染された土があるという。「除染して土地を再生する」と言えば簡単だ。だが、どれだけの手間、どれだけの費用がかかるか。スコップを持って、土嚢を持って、できることなら皆に体験してきてもらいたい。たった1日で言える台詞でもないですが、記憶はゼロから1になり、1から2になるのだと思う。
そんなまとめでした。
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こんな軽装備で除染なんて殺人行為みたい。
女性に声かけてあとから障害が出たらだれが責任取るの?
放射能は直ちに影響ないから関係ないか。
いいことしてると思ってるから始末に負えないわ・・・
Posted by: ポレル | February 04, 2012 05:05 AM
>>ポレル さん
この記事が書かれたのは夏。まだ試行錯誤しながらボランティアが除染していたころのものです。装備が十分でなかったのは認識していますが、きちんと対話したいのか単に捨て台詞をはきたいのかはっきりしてください。前者ならお話ししますが、後者ならあなたが「始末に負えないので」お断りします。
Posted by: BigBang | February 04, 2012 03:57 PM