勝てるのか
俺たちは戦いに勝てるのか。勝てるのか。
勝てるのかと口に出した瞬間にそれは淡く言葉は安っぽくなり
冷たい空気の中で夕べの酔いの覚めたその朝の霧のように先が見えなくなる。
俺たちは戦いに勝てるのか。勝てるのか。
勝てるのかと口に出した瞬間にあなたは眉をひそめ
そういうものではないのよとくすりと笑って背中を向ける。
俺たちは戦いに勝てるのか。勝てるのか。
知ってるぞ。
勝てるのかと口に出しながら人は。
負けることもできないで、勝つこともできないで
のたれて死んでいく。
1億の星を抱くことができるかのように
10億の銀河を駆けることができるかのように
100億の星の砂を取り込むことが出来るかのように
死ぬまで戯れ言を言って
そして滅んでいく。
わかっているのか。
かすれた声がする。
わかっているさ。
わかってはいるが、それはそういうものではないんだ。
精一杯の背中を向ける。
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